内容説明
聖徳太子没後、蘇我氏の専横で頓挫した改革路線。同じ理想で結ばれた中大兄皇子(天智天皇)と中臣鎌足は蘇我氏を斃し、「大化改新」事業に改革を引きつぐ。しかし朝鮮半島では、新羅を従えた強国・唐が百済の王都を陥とし、百済・高句麗との三国同盟で唐に対抗しようとする日本の外交政策は危機にさらされる。友邦救援のため、日本は運命の「白村江の戦い」へと突入していく。正史「日本書紀」は私たちに何を伝えようとしたのか。
著者等紹介
八木荘司[ヤギソウジ]
1939年、兵庫県生まれ。京都大学文学部卒業。63年、産経新聞社入社。大阪本社編集局社会部長、同編集長、東京本社論説委員長を経て、編集特別委員。『ソウルに消ゆ』(第5回日本推理サスペンス大賞受賞)などの著作がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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TheWho
12
記紀や様々な古代文献から古代日本を紐解く古代史絵巻「古代からの伝言」シリーズ第五巻。本巻は、日本史上超有名な蘇我入鹿暗殺事件である乙巳の変、いわゆる大化の改新から白村江の戦いに至る天智天皇の御代を語る。物語は、中臣鎌足と中大兄皇子の出会いから始まり、乙巳の変を経て豪族連合から中央集権国家へと変容させる大化の改新、そして三韓・唐の思惑から白村江の敗戦に至る古代史最後の対外戦争と敗戦処理を克明にかつ劇的に語っている。後に万葉家人の大伴家持が謡った心そのままに「海ゆかば水清くかばね・・・」。心に残る一冊です。2015/02/11
詠月
7
中大兄皇子と中臣鎌足の主従は最初から最後まで信頼しあっていました。二人が進めた大化の改新が不十分であるために壬申の乱がおきますが、古代の歴史は面白いなぁ、と改めて思います。2013/08/24
ヘムレンしば
1
ケヤキの木の下での中大兄皇子と中臣鎌足のドラマチックな出会いから、乙巳の変、大化の改新、そして白村江の敗戦、百済・高句麗の滅亡まで。豪族達の寄合政治から中央集権国家を興そうとした時代ですね。企業にしろ国家にしろ、創業のときが一番面白くてワクワクします。本当はもっと色んな対立があったのだろうなぁ。白村江の戦いでは規模の大きさに驚かされます。この後、朝鮮とは政治的には縁を切って、次に絡んでくるのは明治になってからなんですよね。2016/05/10
iwazer
1
大化改新キター!本書の中大兄皇子と中臣鎌足はとてもいい男。 大化改新から白村江の戦いを経て二人が亡くなるまで、ここまでの本シリーズで最も長い物語。最後、鎌足が死ぬシーンで、不覚にも少し涙ぐんでしまった。2008/06/21
ゆっきーまうす
1
参謀になりたい。トップに立てる器にあらず。名捕手名投手を育てる。自分が目指していきたい姿がそこにあった。鎌足の人物像に憧れる。それでも死ぬときは後悔の念とは。昨日体感した東大寺の修二会といい、日本の文化、歴史は本当に奥深い。2011/03/10