内容説明
ヒーリング、ストレス対策…わき上がる不安感を改善しようと様々な「癒し」を求めても、ますますいじけた気持ちに沈んでしまう人は多い。そういう人は、充足感や達成感をもってその代用にするしかない…。正常と異常の揺らぎの狭間で浮き上がる人間の心の有り様を、精神科医としての豊富な臨床経験に基づく視点で見つめる著者が綴る、不思議な開放感にあふれたエッセイ。生きづらさに悩む人必読の書。
目次
プロローグ なぜ大人になれない親が増えているのか
心のクリニック(心の病の始まりには;心の闇に踏みわけ入れば;癒されない精神科医のわたし)
顔面考
現代を考える
エピローグ 日本人の心はどこへ向かおうとしているのか
著者等紹介
春日武彦[カスガタケヒコ]
1951年京都生まれ。精神科医。都立松沢病院医長を経て、現在都立墨東病院神経科部長。医学博士。日本医科大学卒業。かつて産婦人科医時代には、安易に子供を産んでしまう女性たちの母性神話や家族幻想に疑問を感じた経験を持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばんだねいっぺい
31
春日先生の軽妙なエッセイ。産婦人科時代のエピソードがなんだか、どれも怖い。医者も人間なのに、病院にいくと人間扱いせずに見ていると気づく。いいのか、悪いのか。さらっと、カウンセリングを通しても認知を変えられないケースもあると書いてある。 こういうのが、怖いなぁ。2019/01/01
澤水月
26
3pくらいの掌編エッセイby自分もいつ狂っていたかと常に考え適度に患者に寄り添う春日武彦節全開。裏本の女性、性交しながら笑う写真が1枚は入っているわけ。なぜか統合失調症の女性の妄想に岸恵子が立て続けに登場。私(春日)はマジックショーの助手になりたい。キヨスクの中から殺到する客を撮った写真ほど怖いものはない。浮上に失敗した潜水艦の部屋を調べると必ず引き出しが全部開いている、わずかな空気を求め…。実に興味深く著者のスタンスに心休まる。たまたまカバー下にメアドの走り書き、お題の一つ瓶の手紙のようで興趣深かった2015/05/18
TsumuRi
4
著者のエッセイは、これまで読んだことのある分は、シビアな部分もありつつの軽妙さやシニカルな笑いがよいと、個人的には思っているのだけど、これに関しては不思議と読めば読むほど閉塞感と不快な脱力感が支配する森の奥に誘われていくような、なんともげんなりした感じを覚えてしまい、読むのがたいそうしんどかった。読み終わってほっとした。2012/08/07
林道真衣
3
何をやっても癒されない精神科医の日常。本業をたくさんやって、しかもこうして本まで書いて、忙しくしていないと落ち着かないというお医者さんの、イライラの多い日々の記録。2015/04/06
みーすけ
3
春日先生の不思議なエッセイ。帯に「生きづらさに悩む人、必読」とありましたが、余計にグルグル悩みそうでもある。セブンスター系統のタバコの香りやオムライスにドミグラスソーズ、しゃぶしゃぶのゴマたれが風邪をひいたときの味に近いように思えてダメというのは何だか可愛いく思えてしまいました。風邪をひいたときの味・・・・・・・・・・ここ数年風邪をひいてないので忘れてしまいました。2013/08/18