内容説明
胎児の卵巣には、巨万の富が眠っている―。フィリピン、マニラ近郊の、熱帯樹林に囲まれた研究施設で、人類史を覆す驚愕のプロジェクトが進行していた。胎児の卵子を使い、聖母マリアのように処女をも懐妊させる、「マリア・プロジェクト」。生命の創出を意のままに操り、臓器移植にも利用しようというのだ。神を冒涜するその所業に、ひとりの日本人が立ち向かう。医学の倫理と人間の尊厳に迫る謀略エンタテインメント巨編。
著者等紹介
楡周平[ニレシュウヘイ]
1957年生まれ。米国企業在職中の96年に『Cの福音』で衝撃デビュー、同作はたちまちベストセラーとなり、一躍脚光を浴びる。第二弾『クーデター』も話題を呼び、エンタテインメント界の次代を担う書き手としての地位を確立した
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感想・レビュー
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Syo
25
えげつない 凄い2022/07/25
James Hayashi
24
何とも感想が書きづらい。妊娠、胎児に絡む最新技術(01年)を丹念に調べまとめられフィクションとして書き上げられている。舞台は日本とフィリピンで、闇社会や潤沢な資金を持つハイクラスの人。ここが共感しづらい部分か?金のある人間は海外での臓器移植が可能であるが、その影で犠牲になっている人。途中からは著者らしいドンパチも見られるが、後味の悪い読後感。キーワード:子供の臓器売買と移植。中絶、不妊治療、体外受精、代理母。頼りにならないフィリピン警察と闇社会。2018/04/21
ヒロユキ
21
楡周平さんといえばやっぱり「Cの福音」の朝倉恭介かな…。本作の登場人物たちには朝倉ほどの魅力が感じられなくて(うーん…残念)少し物足りない。しかし、本来重くなりがちな臓器移植などをテーマにしているのに、非常に読みやすく先が気になるストーリー展開はさすがですね。楡さんの国際謀略小説はハズレがないです。…フィリピンではスーパーマーケットの警備員でさえも拳銃を持っていて…陽気で人懐っこい人達の国なのに治安悪いんだなぁ…ってちと残念でした。2013/10/17
n.urabe
20
胎児の卵巣には巨万の富が眠っている・・・。死産させた妊娠22週目の女児の卵巣から卵子を取りだし熟成させ受精卵を作り、フィリピンで さらってきた処女に体外受精して産ませる。そして臓器売買など。貧困の村では実際に子供の売買が行われていると聞くし、この本はなまじ起こらないともいえない内容。命の操作ができる人間 研究者は時に恐ろしいな。2015/09/10
とももん
11
最初から面白かったですね。というか引き込まれました。まず話の着眼点がすごいです。分厚い本でしたが、比較的すいすい読めました。ほんとにこの世界のどこかで臓器売買があるのかもしれないですよね。そして、代理母などはほんとに存在するんですよね。生命を自在に操るこのプロジェクト、壮大な話でしたー!2015/03/30