内容説明
京都は日本文明の壮大な博物館であり、京都こそが日本文化を支えている。本書は、民族学の第一人者が京都の町並みや伝統産業、文化に見る京都独自の精神を平易に解き明かす。また、上ル下ル、祇園小唄、ブブヅケなど京都ならではのキーワードを取り上げ、京都人の常識や本音を忌憚なく語る。京の町とこころに触れ、日本文化の真髄を知る不朽の京都論。
目次
1 京都の未来像
2 京都と観光産業
3 京都の精神
4 わが京都
5 文化首都の理論
6 二一世紀世界における京都
7 京都文明と日本
8 私家版 京都小事典
著者等紹介
梅棹忠夫[ウメサオタダオ]
1920年、京都・西陣に生まれる。京都大学理学部卒業。大阪市立大学理工学部助教授、京都大学人文科学研究所教授を経て、国立民族学博物館の初代館長に就任。京都大学名誉教授、国立民族学博物館名誉教授・顧問。理学博士。専攻は民族学・比較文明学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
61
梅棹忠夫の京都関連の講演を収録した一冊。内容は京都人による京都礼賛といった趣。冒頭で京都人の中華思想について触れられているが、その次の章でナチュラルに奈良・鎌倉をディスっているのは苦笑が漏れた。此処まで恥じらいなく自分の故郷を持ち上げている様を見ると、こっちの顔が赤くなる気がするなあ。何となく没落した名家の裔が家柄自慢している稚気も感じられて微笑ましいけど。あと本書の中で京都は封建時代を経験しなかった的な指摘があるが、京都人の中で室町時代の存在ってどうなってんだろ?あ、巻末の私家版の辞典は面白かったです。2024/11/08
犬養三千代
6
うーん。 中華思想満載の梅棹忠夫の見識。 再読なんだけど高校生の時は気づかなかったこともあるし、時代の変化を思う。 角川の昭和62年判を読んだのだけど検索で出てこなかった。 文庫本では変わってるかなぁ?2018/08/10
らい
3
口調といい思想といい、うるさい。ここまで一般化してたら内部からも辟易とした声が出るのでは。今にも通じるものはあると思うけど、まぁうるさい。2020/02/11
kuboji
2
30〜50年前の論ということを差し引いて考えなければならず、必ずしも現代京都に通用しないだろうと思う。とはいえ「中華思想」のような、現在にも通底していそうなところももちろんある。京都に対するコンプレックスはあるけれど、こうまで京都!京都!と言われるとさすがに鼻白む。果たして本当に京都一般がこうなのか、筆者がそう言っているだけなのか…。京都がなくなれば日本がなくなる、は納得いかないけど、日本がなくなっても京都は残る、は納得。2017/06/14
結城あすか
2
「京都の精神」とあるけど、別に精神論とかそういうものではなく、京都人の京都という都市に対する付き合い方とかいうような感じのものかにょ。日本人の持つ「日本的なものの精神的な支え」が京都であり、京都が失われれば日本というものは失われるとまで言ってるのだけど、それにはちょっと違和感を覚えるにょ。ただ面白いと思ったのは、京都は一度も封建制の支配に入ったことはないという指摘にょ。京都は王城の地として、1000年間ずっと律令制の残った都市として存在し続けて来たということにょ。2012/01/16