内容説明
首都圏通勤圏内、農業と漁業の町、崎浜。常春の集落で、重症化するインフルエンザ患者が多発?現場に入った国立集団感染予防管理センター実地疫学隊隊員・島袋ケイトは、ただならぬ気配を感じた。重症患者が急増、死者が出ても、特定されない感染源。恐怖に陥った人々は、住民を感染地区に閉じこめ封鎖を始めた。ケイトは娘を母に預け、感染源を断つため集団感染のただ中に向かう!緊迫の10日間を描く、アウトブレイク小説。
著者等紹介
川端裕人[カワバタヒロト]
1964年兵庫県生まれ。千葉県育ち。東大教養学部(科学史、科学哲学)卒。日本テレビ入社後、科学技術庁、気象庁などの担当記者を経て、97年退社。98年『夏のロケット』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ペトロトキシン
18
パンデミック発生後に奮闘する人達を描いているのかと思っていたのだが、パンデミック発生前、つまりパンデミックを起こさせない人達の奮闘が描かれていた。色々とミスリードがあったりして、少し推理小説風。想像よりも人が死んでないのが現実的。夏の災厄も読んだけど、個人的には夏の災厄の方が好きかな。2017/12/17
H2A
14
東京に隣接するC県T市で新たな伝染病が発生したという設定の小説。主人公はフィールド疫学のエキスパートのケイト。それに医療関係者、新聞記者が登場する。発生のごく初期の10日間で感染源も明かされていちおうの解決になるが、フィールド疫学車や医者、看護師たちの必死の奮闘ぶりはかなりリアル。ごく大雑把な手法で推論していくのだが、その試行錯誤そのものに夢中になる。あの宗教団体は余計だ、とか、高柳の動機の看護師はどうなったの気になるが著者の面目躍如の小説。ブックウォーカーの電子書籍で。2020/03/18
じぇりい
12
コロナ渦中の今じゃなかったら手に取らなかった本。テレビでおなじみになったワードが出てくる、出てくる。今回のコロナ騒動でもケイトたちのようなFETのようなチームが活躍されているのだろうか?フィクションなのにノンフィクションを読んでいるような気分だった。あの可愛そうな少年のその後が気になるのとと感染源が私の大好きなあの動物だったのが悲しい。個人的には面白かった。2020/05/31
to_chan
9
今が旬!なパンデミック小説。二部に入ってからは一気読み。疫学に焦点あたってるところがちょっと新しい。知識の足りない保健所職員のぼやきに共感。あのミスリードはいる?とか思ったけど。2020/02/02
みすまりも
7
関東地方南部のとある港町から発生した未確認の病気。感染源は何か?新種のウィルスか?爆発的な発生と致死率の高さに町は震え上がり、そして陸の孤島と化していく。「疫学」という地味な学問にスポットライトを充てた展開は興味深いし冒頭から目を離せない展開なのだけど、中盤でやや中だるみしてしまった感じ。新興宗教との係りも最後まで消化不良ですっきりしない。題材はすごくいいのにもったいない感じ。2012/04/09