内容説明
バブルの波が押し寄せる昭和。世の中の価値観に逆らうように古紙に魅入られた収集家たちは、幻の映画フィルムを手に入れた!旧満洲帝国映画のフィルムに導かれ、彼らは旧日本軍の機密情報と資金源の謎へと踏み込んでゆく―。貴重文化紙くず商の綿貫、脱サラ切手商の小柳、映画の東京を記録する会の五郎など、個性豊かな面々の推理が昭和史の闇を照らしだす!歴史に翻弄された人々の悲喜が織りなす、長編娯楽小説の傑作。
著者等紹介
出久根達郎[デクネタツロウ]
1944年、茨城県生まれ。古書店主、作家。古書店経営を続けながら執筆活動にはいり、92年に『本のお口よごしですが』で第8回講談社エッセイ賞、93年に『佃島ふたり書房』で第108回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
124
新聞連載小説のようで、かなり様々な人物が出てきてしかも話は切手収集や古本などまた映画も出てきてどうも焦点が合わせにくい気がしました。いつもの出久根さんの作品と違う感じがします。新聞連載ということで変に力が入っていてそれが十分かみ合っていない気がしました。ただ様々な切手などに関する情報は私が子供のころ趣味であったので楽しめました。最後に主人公に一人が言っている言葉も印象に残りました。「本が、品物?じょうだんではな。本は、精神である。人格化である。」2016/02/17
たぬ
20
☆3.5 数年前に読んだ『踊るひと』が3.5点止まりだったからこれもあまり期待はしていなかったのだけどまあまあ楽しめた。4点に限りなく近い3.5点ってとこね。私もコレクター気質だからかも。例えば駄菓子を大量に買ってきたらまずは全部並べてにまにましちゃうし。目当てのものを探してあちこち行っちゃうのも昔やってたし。趣味仲間が複数いるっていいなあ。2021/04/16
銀次
6
主人公は誰なんだろう?。映画にまつわるイロイロは面白かった。けど、尿管結石とか俥引とか、またそのネタかーという感じでした。2015/02/15
埋草甚一(U.J.)
4
話のネタはとても興味深いところ。満州国設立に関わる秘密とは…。ただ、この作者の場面転換は慌ただしい。主体がコロコロ変わるし、時系列が前後するのにわかりにくい。本筋とは関係ないけど、実はどうだったんだという記述が多すぎる。確かに満鉄や満映の歴史ってのは面白いんだけどね。2009/06/05
ふじ
3
2004年に朝日新聞に連載された新聞小説のようです。のちに朝日新聞出版から刊行された単行本の文庫化です。皆さんのコメントどおり、場面転換が判然としないところが多いと思いました。2011年2月15日古本フェス.20112011/02/27