内容説明
泉は田舎の温泉町から東京に出てきた女の子。「今度こそ幸せになりたい」―そう願って恋愛しているだけなのに。なんでこんなに失敗ばかりするんだろ。アイルランドを自転車で旅したり、ニュー・エイジにはまったり、ストーカーに追い掛けられたり、子供を誘拐したり…。波瀾万丈な恋愛生活の果てに、泉は幸せな“あした”に辿り着くことができるのだろうか?新直木賞作家がはじめて描いた、“直球”恋愛小説。
著者等紹介
角田光代[カクタミツヨ]
1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。90年「幸福な遊戯」で「海燕」新人文学賞を受賞しデビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、98年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、『キッドナップ・ツアー』で99年産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年路傍の石文学賞を受賞。2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞を受賞。2005年『対岸の彼女』で直木賞を受賞
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感想・レビュー
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masa@レビューお休み中
133
角田さんって、つくづくカメレオンみたいな作家さんだなと思ってしまう。キレイな物語も、ドロドロした物語も、メチャクチャな物語も書いてしまうんですよね。そして、これはメチャクチャな物語。主人公いずみの半生を描いたお話なのですが、彼女の行動、恋愛、人生そのものが破天荒で、ギャグのような破茶滅茶さ加減なんです。失恋して、ひとりでアイルランドに旅とか普通しないですよね?こんなこと、普通の人には起こらないだろうけど…。読んでると、何があっても人生はやり直すことができるって思えるんです。2016/06/03
aoringo
92
面白かった...歳を食ったいくばくかの中だからこそ楽しめる内容だったと思う。高校生からアラサーまでの恋愛遍歴。共感できるところも、引いてしまうところも全部含めて角田さんワールド。もう一つの自分の人生を見送ったような読後感だった。恋愛だけで生きてきた主人公のこれからを思って、彼女はこれからどう生きるのか想像させられた。人の誰かの人生にはこんな生き方もあるのだなと想い、それは本を読んでいるからこそ感じる想いで自らの言動を改めさせられました。ふぅ、現実に戻りほっとしてしまう自分がいた。2022/01/24
ねむねむあくび♪
70
恋をすると皆、多かれ少なかれ、その恋に溺れ引きずられるものだけど…。恋愛依存度の高い人は、自己肯定感の低い人のように感じてしまう。主人公をつなぎとめるものは無く、主人公を満たすものも無い。思考停止をしたような生き方の中で、彼女はあしたを夢見て、今日もまた、遠くへ流されていく。2018/07/21
i-miya
60
2011.02.05 (角田光代) 1967、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。1990、『幸福な遊戯』(海燕新人文学賞)。(カバー書) 泉は田舎の温泉町から東京へでてきた女の子。「今度こそ幸せになりたい」なんでこんなに失敗するのか。アイルランドで自転車の旅。ニューエイジ、ストーカー、子供誘拐。直球恋愛小説。(解説『誰かを好きになる、という心持の出所はどこだ』=穂村弘) 三年振り、一気呵成に読んだ。1985-2000、15年間。2011/02/08
NADIA
51
1985年から2000年のこの小説のヒロイン「栗原泉」の恋愛の記録。時代の裏の流行に乗ったような彼女みたいな知り合いは心当たりがないが、それでもとてもリアルで新鮮だった。しかし、ドロドロとした恋愛を懲りずに繰り返す彼女とはとても親しくなれそうもないが・・・。彼女のいい加減な恋愛話の連続にうんざりしていたが、後半にストーカー事件に発展したあたりはとても面白く期待させてくれた。終盤に彼女の友人が語る恋愛観「人は、相手の中に自分を見つけたいんだよ」は真理だと思った。2018/12/08
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