出版社内容情報
愛と命をテーマに、緊張感溢れる筆致で綴った、珠玉小説集。大手部品メーカーに勤務する野島は、パーティで同僚の若い女性の結婚話を耳にし、動揺を隠せなかった。なぜなら当の女性とは、野島が不倫を続けている恵理だったからだ……心のもどかしさを描く会心の作品集。
白石 一文[シライシ カズフミ]
著・文・その他
角川書店装丁室[カドカワショテンソウテイシツ]
著・文・その他
内容説明
大手企業の総務部に勤務する江川一郎は、妹からある日、夫が同僚の女性と不倫を続け、滅多に家に帰らなかったことを告げられる。その夫とは、江川が紹介した同じ会社の後輩社員だった。怒りに捉えられた江川だったが、彼自身もかつては結婚後に複数の女性と関係を持ち、そのひとつが原因で妻は今も大きな障害を背負い続けていた…。(「不自由な心」)人は何のために人を愛するのか?その愛とは?幸福とは?死とは何なのか?透徹した視線で人間存在の根源を凝視め、緊密な文体を駆使してリアルかつ独自の物語世界を構築した、話題の著者のデビュー第二作、会心の作品集。
著者等紹介
白石一文[シライシカズフミ]
1958年福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、出版社に勤務。2000年に刊行されたデビュー作『一瞬の光』が各紙誌で話題となり、多くの読者の支持を得る
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感想・レビュー
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遥かなる想い
90
主人公は三十代から四十代の大手企業の社員達だが、 白石一文のこの本は男性視点すぎて 女性からは 反感を買いそうな短編集になっている。ある意味 ほろにがく現代を描いているのかもしれないが、『一瞬の光』のような切なさはない。
りゅう☆
66
不倫関係を解消しても転勤に伴い不倫相手と離れられない『天気雨』。元彼の元に行った妻、病気の父が亡くなり孤独になった『卵の夢』。妊娠中の元カノと会うも帰りの飛行機でまさかの…『夢の空』。癌で余命を言われ家族と離れ一人時間を堪能するも、結局最期に会いたいのは別れた浮気相手の『水の年輪』。妹の夫の浮気を咎めるも自身もどんだけ浮気しとるねん!いい加減にしとけやと腹立たしい『不自由な心』。生と死について考えさせられるも、浮気や不倫が盛り込まれて食傷気味。字が小さいし次の短編に進むのに躊躇して読むのに時間がかかった。2024/07/16
ワニニ
52
【再読】男の人は、ロマンチストなんだろうなと、改めて。普段、表面的に見たらわからない、その男の心の奥底を、理想を、素直に著した小説だと思う。女、特に妻目線で見ると、怒鳴りたいほどだけれど、愛人目線で見たい私は、出てくる男たちが愛おしい。心はかくも不自由なものか。否、心は自由だから、苦悩する。でも、それが人生か。2014/10/12
ミカママ
40
久しぶり、そしてデビュー作に続き2冊目の作家さん。直木賞も取ったのね。いやー切なかったです。カテゴリー的には恋愛小説なんだけど、年代的に自分に近い(よって結婚している)人たちの恋愛・・・。かなり身につまされます。小説読んではめったに泣かない私だけど、「夢の空」のラストのシーンではかなりじわっときました。2012/10/10
KAN
36
久々の白石さんでした。らしい作品でした。何か読んでしまうんですよね。 ドロドロの内容ですが、なぜかスッキリ。2015/05/17