出版社内容情報
この恋は甘い地獄。彼女が天使とは限らない。不倫する奴なんてバカだと思っていた。でもどうしようもない時もある――。建設会社に勤める渡部は、派遣社員の秋葉と不倫の恋に墜ちる。しかし、秋葉は誰にも明かせない事情を抱えていた……。
東野 圭吾[ヒガシノ ケイゴ]
著・文・その他
内容説明
不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた。ところが僕はその台詞を自分に対して発しなければならなくなる―。建設会社に勤める渡部は、派遣社員の仲西秋葉と不倫の恋に墜ちた。2人の仲は急速に深まり、渡部は彼女が抱える複雑な事情を知ることになる。15年前、父親の愛人が殺される事件が起こり、秋葉はその容疑者とされているのだ。彼女は真犯人なのか?渡部の心は揺れ動く。まもなく事件は時効を迎えようとしていた…。
著者等紹介
東野圭吾[ヒガシノケイゴ]
1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学工学部卒業。エンジニアとして勤務しながら、85年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。99年『秘密』で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
886
メインプロットは、派遣社員との社内不倫。そしてサブプロットは、彼女が絡む殺人事件。いずれも、この軽い文体表現(必ずしも悪い意味ではない)では小説の全体を背負いきれない。ところが、この2つが組み合わさると、そこになんとも巧みな小説世界が現出するという仕掛け。テーマがテーマであるだけに読者は肯定しにくいのだろうが、なかなかどうして上手いものだ。不倫にのめりこんでいきつつ動揺を隠せない男の心理の描出も、2転3転する結末の巧みさも。渡部の間抜けさかげんに比して、秋葉の去り際のなんとも鮮やかで見事なこと。2020/05/04
Tetchy
854
女性ならば男に対する嫌悪感が否応なしに増す物語だろう。奥さんに罪悪感あるなら不倫しなければいいじゃん!と声高に唱える姿が目に浮かぶようだ。しかし同性の男性が共感する話では決してない。私はこの主人公渡部の言葉や思想がいやに断定的で世の中の男性の思いを代弁しているかのように書かれているのが非常に腹立たしかった。そんな不快感を終始覚えた本書は最後の事件の真相が明らかになってどうにかギリギリのところで踏み止まってくれた。やはりこれはミステリだった。しかし不倫を正当化する男の話はこれ1冊で勘弁してもらいたい。2014/10/01
射手座の天使あきちゃん
476
【不倫】 テレビ・映画では「金曜日の妻たちへ」や「マディソン郡の橋」 文学作品では「失楽園」、「夫婦が指輪をはずすとき」 著名人の発言では、「不倫は文化」と放言したり、「妻子ある人を愛したんじゃない、愛した人に妻子があっただけ」とディベートを展開したり、「不適切な関係」と反省した大統領もいましたっけ? でも結局「相手を傷つけたくない」なんてのは「自分は悪者になりたくない」ことの裏返し(笑) 事件の真相はちょっと無理やりな感じだったけど娯楽作品として読んでください <(^_^;2014/11/24
再び読書
441
冒頭の「不倫する奴なんて馬鹿と思っていた・・・」から始まる文章にふむふむと頷きながら読書開始。最初はほら見なさい風に話が進み、いつの間にやら時効間近の殺人事件の謎解きも加わってくる。プロットの巧みさにうなるとともに、浮気→不倫に進行していく心の動き、相手の心境を推し量る動き、いずれも巧みでどきどきさせられる。妻子を捨てるとは、どういうことなのか、どんな結末を迎えるのか、リアルに伝わってくる文章に感心する。最後の謎解きと結末、ありきたりと言えばそれまでだが、うまく纏められている。脱帽。2012/09/24
Yunemo
383
一種コミカルさが漂うこの雰囲気、なかなか。このミステリー仕上げ、不倫のドロドロさがない分、ゆったり楽しめます。ただどちらに力点を置いたらいいの。本作品の良さが分散してしまって。男の持つ弱さと狡さ、とても女性の深い深い強さには太刀打ちできません。15年もの間、それも思春期を通しての。こんなこと男にはできません。この場面展開が、女性の視点での物語だったらどんな感じになるのでしょう。ちょっと味わってみたい気も。男の持つ優柔不断さと違った観点、これは怖いかも、ミステリーの範疇じゃなくなる?そんなことを想い読了。2015/01/04
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- 和書
- 英国の民家解剖図鑑