内容説明
浅野の刃傷沙汰から二年足らず、収賄の噂により役職を解かれた吉良は、隠居にあたって別れの茶会を準備していた。茶器を手にした吉良の脳裡に、ふとその日の光景が蘇る。事件当日の朝、天下の名器・交趾の大亀を前にした浅野のひどく思いつめた表情が…。赤穂事件最大の謎とされる刃傷の真因を巧みな心理描写で解き明かす表題作ほか、人情の機微を濃やかに描き、鮮やかな余韻を残す五篇の忠臣蔵異聞。
著者等紹介
池宮彰一郎[イケミヤショウイチロウ]
1923年東京都生まれ。静岡県沼津市に育つ。軍隊生活ののち映画の脚本家として独立。92年『四十七人の刺客』で小説家としてデビュー、93年同作品で新田次郎文学賞を受賞
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