内容説明
犬との出逢い、暮らし、そしてやがて訪れる別れ…。たとえそれが、かりそめのつながりであったとしても、溢れる愛しく切ない思いを、とめることができない。ひとの心を静かに震わせる、犬という不思議な存在。幸田文から江国香織まで、現代の名文家達の手になる珠玉のエッセイ二十篇。
目次
なのはな(幸田文)
犬の話(小沼丹)
チャンプのこと(池内紀)
押入れの主(群ようこ)
犬はかじる(小川洋子)
隣りの犬(向田邦子)
ガラス越しの犬(伊集院静)
犬(佐野洋子)
ミミの死(近藤紘一)
ダーキイのお産(江藤淳)
愛犬家は旅先で出会った犬に心をかける(景山民夫)~
アメリカンな雨のこと(江国香織)
母と鼻吉の死(鴨居羊子)
犬は少年といるの時が一番うれしいようだ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinupon
47
それぞれの著名人が犬に関するエッセイを書いている。 やはり愛犬が死んでいく話は悲しい。2020/04/04
siro
36
どの話も短いけれどじーんと染み入る良い話ばかりでした。様々な作家がエッセイのなかで犬との思い出を描いています。やはり予想通りお別れの悲しいお話が多かったけれど、家族の一員として大切に飼われていたことが分かります。どうしても人間よりも寿命が短いのは家族として迎える時に覚悟しました。最後まで看取る覚悟も。今は幼犬の彼女にそんな日が来るなんて考えられませんが一日でも長く一緒にいたい。2014/10/16
コジ
27
★★★★☆ 犬のエッセイ・アンソロジー。犬ならではの共に暮す楽しみを読むことができるかと期待していたが・・・別れを綴った切ない内容が多かった。収録作品の文中にある「人にとって犬は最良の友」の言葉。これについては「猫も然り」と続けたいところだが、共に暮らす人間や仲間の気持ちを汲んで行動できるのはどちらがと問われれば、犬と暮らした事のない自分でも「犬」と答えるのは明々白々。くやしいが「猫も然り」は控えることにする。短いエッセイの中に「最良の友」との相思相愛が詰まって、見た目の何倍も厚く思える一冊。2018/02/16
ゆっ
11
20人の作家による、犬のエッセイ集。賢いワンコもいればアホなワンコもいて、それぞれ楽しかったり切なかったり。どの作家さんも愛情に溢れています。2015/12/06
にじいろ
3
昔飼っていた犬のことを思い出した。時々隣に座って一緒に遠くを見つめたり、話しかけたり。散歩もろくに連れていかなかったなあ、て。 阿川弘之さんは、ゴールデンレトリーバーを飼っていて『72のじじいが朝6時半から散歩に連れ出し、ひっばられてふうふう喘ぎながらよその家の玄関先で大便の始末までさせられて…、精気をあたえられているのかすいとられているのか、さっぱりわからず、…』と書いてある。これには笑った。2012/11/01