内容説明
日本人の起源と形成の問題はいまだに研究者の興味を引き、論争の的になっている問題も少なくない。本書では、現代にもみられる日本人の地域性を、縄文系集団と渡来系集団の混血の濃淡によって説明し、地域性や自然環境、文化の発展などにも着目する。日本人の形成史を縄文系と渡来系の「二重構造モデル」で分析し、自然人類学の視点で日本人のルーツを探る。
目次
アジア人の系譜
日本人のルーツ―二重構造モデル
寒冷適応―日本人形成のキーワード
エリザベス・サンダース・ホームの子供たち―日米混血児の歯
歯の人類学
日本人の顔
アイヌ研究事始め
日本の中の異民族―エミシとハヤト
奥州藤原氏四代の遺体
「ヒマラヤの雪男」を推理する
古代人の心を読む
人類の現在、そして将来
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AICHAN
2
有名な「日本人二重構造モデル」についての本。今の日本人は大雑把に言うと縄文系と渡来系の2つの集団によって構成されているという仮説だ。日本列島には原日本人とも言うべき南方系アジア人である縄文人が住んでいて、そこに大量の北方系アジア人が大陸から渡来したことで日本人は大きく分けるとその2つの系統から成り立つようになり、両者の混血が進んだ西部地方では大陸の血が濃いという理論だ。アイヌ民族と琉球民族や薩摩隼人の祖先を縄文人の一派としている点でも私はこの仮説を支持している。再読してまた大いに納得した。2011/05/10
眉毛ごもら
1
再読。日本人のルーツを骨から辿る。南から来た人西から来た人。縄文人弥生人の顔の違い。貴族と庶民の顔の違いまで色々。貴族的な瓜実顔が遺骨から判明したり奥州藤原氏の顔の系統はよく言われるアイヌや蝦夷の系統より京都の貴族層と近いというのもなかなか面白かった。おまけなのかエベレストのイエティについて真面目に考えてみた研究もあるのでワロス。二十年以上前の本だしUMAとか流行ってた時代に学者も本気で考えていた事にはびっくりした。最後がありきたりな文明批判的な章だったのがちょっと鼻について残念だがそれ以外は面白かった。2020/08/25
結城あすか
0
いわゆる自然人類学の立場から日本人の起源を探ろうって本かと思ったけど、あんまし具体的な追求は無く、主に旧モンゴロイド系の縄文人の系統と新モンゴロイド系の弥生人の系統から日本人が成り立っているということを、多方面から語ってる感じかにょ。2002/11/26
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