角川文庫
月の家族

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  • サイズ 文庫判/ページ数 238p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784043667017
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0193

内容説明

作家の父と心を病んだ母がいる“月の満ち欠けよりも不安定な”家から逃れるように少年が心を向けたのは、人々の生活に根づいたささやかで愛しいモノや生き物だった。切手にマッチ箱、メンコ、薬のチューブ、犬のジョン、虫、ウンコ…。一九五〇‐六〇年代の圧倒的な奄美の大自然の下でたくましく、そして時に残酷にふるまう島の悪ガキたちと繰り広げた痛快ないたずらとともに、少年の孤独と屈折、つかの間の安息の世界を詩情あふれる筆致で描き留めた、忘れられない名エッセイ。

目次

病気が治ってみると切手集めが流行っていました
琉球とアメリカの風
どこか不器用な手つきの父
東京から汽車と船で奄美大島へ
修道院はまだ世界大戦中だったのです
いろんな人がいたっけ
奇妙なコレクション
夢に出てくる燃えるドラム缶
彼の父は私の父の父
パパイヤの実る島に住んでいたのです
野放しだった子どもたち
三つのウンコ
まとまりのつかない気分の子どもでした

著者等紹介

島尾伸三[シマオシンゾウ]
1948年、作家の島尾敏雄・ミホ夫妻の長男として神戸に生まれ、幼少期を東京で、小中学校時代を奄美大島で過ごす。東京造形大学造形学部写真専攻科卒業。78年に写真家の潮田登久子と結婚。個展、写真集を通じ、二人で中国や香港の庶民生活をリポートし始める
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Yonowaaru

2
とても不思議な、知らない島の知らない日本(?)の子供の頃の思い出。切手を集めたり、いたずらをしたり、汚い大人たちに辟易しながら自分も自分でということを棚に上げて過ごす作者。まぁ多かれ少なかれ子供ってそんなものか、いやウンコの件はさすがにと思いながら。オランダのリサイクルショップで拾った一冊、ここに完読。2024/07/14

AR読書記録

1
「いつごろから物を集める癖がついたのかを思い出そうと、不透明なまどろみの中に眠る記憶の沼に手を入れると、木の洗濯用の盥に入れられた玩具が見えてきました」.これ多分,文章上の表現ということじゃなくて,この人にとって記憶はほんとうに沼のように自分の中に(あるいは存在に重なるように)あり,かき分けて探すような実体のあるもの,じゃないかと思ったりします.子ども時代を思い出して書いているようでいて,でも過去の自分と今の自分がふわふわと混じり合っていて(さらに奄美という要素が加わって),なんとも不思議な読感.好き.2013/06/28

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