出版社内容情報
闇の「後南朝時代」に光をあてた、著者渾身の時代巨編!後醍醐帝の呪力が込められた三枚の能面の行方をめぐり、繰り広げられる死闘の行方。やがて時代は大きくうねり、赤松氏による将軍義教暗殺、嘉吉の乱へと進展する。闇の時代を壮大なスケールで描く歴史伝奇絵巻!
安部 龍太郎[アベ リュウタロウ]
著・文・その他
角川書店装丁室[カドカワショテンソウテイシツ]
著・文・その他
内容説明
かつて今川了俊を謀反に導いた黒色尉の面は将軍足利義教の手に落ちた。白色尉の面に操られた鎌倉公方足利持氏の反乱も義教に鎮圧される。しかし、恐怖政治を強める義教にも苛烈な運命が待ち受けていた。次第に明らかにされる能面の秘密、そして後醍醐帝を怨念へと駆り立てた太古の記憶とは。民衆の決起は何を意味するのか?日本史から抹殺された後南朝時代に大胆な解釈を加え、「天皇とは何か」に挑んだ渾身の大河絵巻。
著者等紹介
安部龍太郎[アベリュウタロウ]
1955年福岡県生まれ。国立久留米高専卒業後、作家を志して上京。図書館勤務等の傍ら作品を発表し、小説家に。89年から一年間、「週刊新潮」に連載した「日本史 血の年表」(90年、『血の日本史』と改題し刊行)で衝撃的なデビューを飾る
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TheWho
12
下巻に入り、永享の乱で勝利した将軍足利義教の横暴は増し、更に幕府方の力も増し、後南朝方は劣勢に立たされる。後南朝方の主人公北畠宗十郎は、幕府方の主人公朝比奈範との果し合いに負け失明するが、謎の尼の導きで光を取り戻し、将軍暗殺に繋がる嘉吉の乱へと物語は展開する。そして、謎の能面の秘密が徐々に明らかになり、結果幕府方と後南朝方の和平に繋がり、両主人公もその後の道を各々踏み出すこととなる。ともあれ史実とフィクションが絡まり摩訶不思議な世界観に魅了された作品でした。2023/02/18
星落秋風五丈原
4
これはくじ引き将軍として悪名の高かった足利義教殺害という事実ありきの小説。二人対立する主人公が出てくるのだけれど、結局どちらに肩入れすればいいんだ?と迷ってしまった。普通こういうのだと主人公が正しくて対立する方がニヒルな魅力を持っていつつも悪役なんだけど、今回の場合はうまくおさまり過ぎちゃったなと。2013/12/15
まりこ
3
将軍義教暗殺頃までの方が面白かった。嘉吉の乱を舞台に色々展開。民衆の力が歴史を作る。2014/10/15
BIN
2
下巻は予想通りに嘉吉の乱で、その後の土一揆とかによる都の混乱状態がメイン。二人の主人公最後はどうなるかと思いきや、無難なおわらせ方だったなあという印象をもった。上巻よりかは盛り上がりに欠けたような気がする。2014/09/19
こんがら童子
2
最後の最後で世阿弥が出てくるのだが、そこになんとなく興ざめた。確かに所々に世阿弥の言葉や気配が現出していたので唐突ではないんだが、なんとなく違和感を感じた。そこまで夢中になる書きぶりではなかったけど、悪くはない。2014/08/26