内容説明
時代の寵児としてマスコミの注目を浴びるITベンチャーの若き起業家永井恭二。だが妻アキラは娘カアイを連れて失踪した。追い討ちをかけるように知らされる会社の乗っ取り計画と親友の裏切り。砂を噛むような茫漠たる思いに駆られる永井は、偶然知り合った男娼キーチに、妻子を捜すよう依頼するが…。世界映画界の奇才にして三島賞作家、青山真治が描く、この世で最も脆く拭いがたい絆。
著者等紹介
青山真治[アオヤマシンジ]
’64年7月13日北九州市門司生れ。立教大学英米文学科卒。’96年『Helpless』で映画監督としてデビュー。’00年『EUREKA』が第五十三回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞と全キリスト教会賞をW受賞。処女小説『ユリイカ』が、第十四回三島由紀夫賞受賞
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感想・レビュー
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Taxxaka_1964
2
シナリオと小説と映画の関係は、青山真治の場合、どれが先という問題ではなくなるのだろう。平凡とは言えば言えなくもない、資本主義に侵された家庭の崩壊と再生というとひどく凡庸だが、その凡庸な出来事を、心象を中心に描くことの難しさと失敗をこの映画と小説は痛切に示す。失敗したのではなく失敗を見せなくてはならない物語なのだ。痛みと現実だけが我々の目の前に横たわる。2017/03/18
勉誠出版営業部
0
青山真治さんの『月の砂漠』を読了。『EUREKA ユリイカ』などと同じく、映画をノベライズしたもの(映画は未見)。これまで読んだ作品よりも官能描写が多い気もしましたが、壊れそうなまでの「美」を描いているところは変わらず。2017/08/24
さわたり
0
★★★★★著者自らのノベライズ。映画を見ることなく本書を手に取った。映画を見ているような雰囲気を味わった。
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