内容説明
19世紀の琉球王朝。嵐吹く晩に生まれた真鶴は、厳しい父の命に従い、男として生まれ変わることを決心する。名を孫寧温と改め、13歳の若さで難関の科試を突破。憧れの首里城に上がった寧温は、評定所筆者として次次と王府の財政改革に着手する。しかし、王室に仕える男と女たちの激しい嫉妬と非難が寧温の前に立ちはだかる…。伏魔殿と化した王宮を懸命に生き抜く波瀾万丈の人生が、春の雷のごとく、いま幕を開けた。
著者等紹介
池上永一[イケガミエイイチ]
1970年生まれ、沖縄県石垣市出身。94年、早稲田大学在学中に『バガージマヌパナスわが島のはなし』で第6回日本ファンタジーノベル大賞を受賞する。98年には『風車祭』が直木賞候補になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
271
最高に好きな小説にまたも出合った‼️ドキドキを伴う面白さが飛び抜けてる!舞台は19世紀の琉球王国。大国清や薩摩藩などの支配欲に翻弄されながら辛うじて王国の体裁を保っている脆弱な琉球王府。嵐の夜に生まれた少女は、男子を望んでいた父親に疎まれ名さえ貰えぬ。女に学問の権利などない時代、父の為に宦官に扮し男として生きてゆくと誓う。才に恵まれ王宮で務めるが、そこは欲望と嫉妬蠢く魑魅魍魎の巣窟!かの大作『蒼穹の昴』を彷彿とさせ、勝るとも劣らぬジェットコースターストーリー‼️展開も早く、読む手も興奮も止まらない‼️🙇2020/01/25
ALATA
114
かつて繁栄を極めた琉球王朝にひとり男として生きる運命をまとう少女の物語。武器を持たず争いのないオキナワというの歴史の一端に触れることができた。兄に代わって宦官となり王宮の改革を推進するところはなかなか読ませてくれる。御内原(大奥)で繰り広げられる覇権争いはちょっとクスリ。清国と薩摩に挟まれ外交に苦慮する歴史小説としてよく書かれ、スルスルと読了★5※清の科挙にあたる国家試験、科試の章はあっさりしていて「蒼穹の昴」のほうが良かったかな・・・次巻へ2023/12/07
kishikan
80
沖縄のことを書いた小説といえば、なんと言っても池上さん。その池上さんが、幕末の時代の琉球王朝を一代スペクタル小説として描いたのがこのテンペストです。主人公真鶴が、女として生まれながらもその才を生かし、宦官寧温となって清国と薩摩との間で揺れ動く琉球国のアイデンティティを守るお話。政治や歴史物語としてだけでなく、王宮内の愛憎、友情、兄弟愛、そして男女の愛を見事にミックスさせ読者を惹き付けます。次巻以降を読むのが楽しみです。2011/06/16
優希
78
まだ沖縄が琉球と呼ばれていた頃を舞台にした時代小説でした。嵐の夜に生まれた少女・真鶴。美貌とあふれるばかりの才能を持つ彼女が、女であることを捨て、宦官「孫寧温」として生きる決意をしたのが潔く感じました。科試に合格し、憧れの首里城の評定所筆者として働くことになりますが、そこは男と女の激しい嫉妬と非難の渦巻く世界でした。新たな人生を歩み始めた寧温にこれから何が起きていくのか気になります。男だけが認められ、王のいた時代を女を捨てた寧温はどう生きるのでしょう。波瀾万丈の予感がします。2015/07/03
嘉江☆海★山♫
64
ついに踏み込んでしまったぁ〜『テンペスト』の世界!!池上永一さんの本にはまりにはまってしまい、夢中になって読んでいると、池上永一さんの世界を愉しむことができる本も、残り少なくなってきてしまうと思い寂しくなる。沖縄という地や文化や人を、池上永一さんの本たちに出逢ってさらに好きになった。首里城に訪れた時に琉球王国に強く惹かれた。けれど、憧れの沖縄にも、当たり前だが、日本の歴史と同じように争いの歴史があるのだよな…と改めて実感した。でも、とりあえず二巻へ進もう!映像のテンペストの世界も観たいなあ〜2015/10/19