内容説明
進藤宏。40歳。新作が描けなくなった絵本作家。フリーライターの仕事で生計を立てる進藤は、さまざまなひとに出会う。破滅の時を目前にした起業家、閉園する遊園地のピエロ、人気のピークを過ぎたアイドル歌手、生の実感をなくしたエリート社員…。進藤はスケッチをつづける。時が流れることの哀しみを噛みしめ、東京という街が織りなすドラマを見つめて―。「今日」の哀しさから始まる「明日」の光を描く連作長編。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963年岡山県生まれ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木賞を受賞。話題作を次々に刊行する傍ら、ルポルタージュやインタビュー、週刊誌記事のリライトなども手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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s-kozy
52
東京ってどんな街ですか?「日本の首都」「豊かで便利な街」「クールジャパンの発信地」「地方出身者の集まり」(「オリンピック開催予定地」)といったところでしょうか。著者曰く「なにかを得ることよりも喪うことのほうに向いている街」(文庫版へのあとがきより)。出張や旅行から帰って来る度に人口やエネルギー消費の過剰さから「東京って異常なところだよな」と感じさせられている身にはしっくりとくる一作でした。途中、中だるみ感があるのは長い期間で書き継いできた連作長編だからなんですかね。2013/11/29
NAO
45
大人の本?おじさんの本だな!帰る家がなくたって、家族と別れたって、まっとうな生活が絶対できないことない・・・生きていけるんだな~結構好きな本。2015/03/25
pdango
42
★★★★☆近頃疲れているのか、物語の空気感が違和感なさすぎた。いつのまにか、題名を『中年的哀愁』と錯覚していた(^^;)2017/03/27
aqua_33
41
読んでる間ずーっと、やるせなさ感と切なさがつきまとっていて、最後の最後に「哀愁的東京」というタイトルがピッタリと思えるほど、物悲しさしか残らない。これは相当テンション高いときじゃないとしんどい本かもです(笑)《2020年17冊目》2020/03/09
まさきち
39
一人の絵本作家兼フリーライターを軸に東京を舞台にした短編集。それぞれの話が結論を押し付けてこず、感じるものやその後の想いなどを読み手に委ねてるようで一話読み終わる毎に虚空を見つめてしばし無言になりました。2013/08/29