内容説明
広大な干拓地と水平線が広がる町に暮す中学生のシュウジは、寡黙な父と気弱な母、地元有数の進学校に通う兄の四人家族だった。教会に顔を出しながら陸上に励むシュウジ。が、町に一大リゾートの開発計画が持ち上がり、優秀だったはずの兄が犯したある犯罪をきっかけに、シュウジ一家はたちまち苦難の道へと追い込まれる…。十五歳の少年が背負った苛烈な運命を描いて、各紙誌で絶賛された、奇跡の衝撃作、堂々の文庫化。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963年岡山県生まれ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木賞を受賞。話題作を次々に刊行する傍ら、ルポルタージュやインタビュー、週刊誌記事のリライトなども手がける
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
561
壮絶な装丁画からずっと気になっていた今作、読み始めたら案の定止まらない。いじめ、暴力、性、壊れていく家族、壊れていく街並み。そんな中で中学生のシュウジには「走る」ことだけが残された。どうかそれが救いになって欲しい、と下巻へ進むが、暗澹たる結末に迎えられそうな予感しかない。2021/10/31
HIRO1970
280
⭐️⭐️⭐️重松さんはまだ6冊目で初級者クラスです。いつもながら死が隣り合わせのお話で、主人公が少年のためか、今まで読んだ中でもかなりグラビティがキツイ真正重松流のお話です。前半は話がずっと下降線で逃げ出したくなるお話でしたが、何とか折り返し地点までは来ました。出来ればハッピーエンドを望んではいますが、後半はどうでしょうか?2015/09/08
ehirano1
227
誇りのある「ひとり」が孤高(P255)。孤高であれば生きていけるのだろうか?いかなる形であっても「ひとり」では生きていけないのだろうか?下巻で答えが出るのか問が出るのか。2016/01/09
イアン
144
2005年に映画化された重松清の長編。干拓地が拡がる町で両親と兄の4人で平凡に暮らしていた中学生・シュウジの人生は、優秀だった兄が犯したある犯罪によって一変する。親友の裏切りと同級生からの苛烈ないじめ、バラバラになった家族…。どん底だと思っていた場所から更に転げ落ちていくような絶望感に胸が締め付けられるが、その不幸の連鎖が紡ぐリーダビリティは圧巻の一言。果たしてシュウジが駆け抜ける先に「救い」はあるのか。そしてシュウジを「おまえ」と呼ぶこの物語の語り手は誰なのか。曇天に射す一筋の光を求め、下巻へ進みます。2022/07/01
zero1
139
【黒い重松】の代表。読むには覚悟が必要。兄の犯罪は弟にも責任あり?事件が起きた場合は田舎のほうが厳しいのか。転落はどこまで続く?再読なので下巻を開くのが怖い。前に読んだ本を登録。
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