内容説明
美しいお千代を妬み、神社の梅の木に大凶のおみくじを結びつけながら、その凶運を願うおえん。実際にお千代が不幸な死に方をして…(「梅の雨降る」)。お義母さまにとりついていた鬼は、穢れの化身だった。近づく者は、自分の邪な心をその鬼に見る。ところが、わたしには見えなかった…(「安達家の鬼」)。ほかに、「居眼り心中」「影牢」「布団部屋」「女の首」「時雨鬼」「灰神楽」「蜆塚」の計九編。江戸ふしぎ噺が、ホラー文庫にも登場。
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960年、東京生まれ。87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。89年『魔術はささやく』で日本推理サスペンス大賞、92年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞を受賞。93年『火車』で山本周五郎賞、97年『蒲生邸事件』で日本SF大賞、99年には『理由』で直木賞を受賞し、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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カザリ
57
宮部作品はやっぱり構成力にあるなあと思った。。ときおり、はっとした描写があるけれど、描写というより、きっちりした構成力という感じ。2014/10/02
さっとる◎
39
安心安定宮部さんの江戸ホラー。女中や丁稚といった日々を生活のため一生懸命に過ごす奉公人を主人公にした、どことなく身近なふしぎ話9篇。ホラーと愛憎とファンタジーと人情と。そのバランスが繊細で女性的で、あぁ宮部作品だなあ、と。時代小説的な馴染みない名前や単語が使われているにも関わらずさすがの読みやすさ。1話1話は短いながら、ふしぎで少し恐ろしいものが見え隠れる江戸の市井の気配が伝わってきた。2016/04/07
tomi
35
お店の奉公人が絡んだ、江戸の怪談集。「安達家の鬼」「女の首」「蜆塚」など九篇を収録。代々祟られてて来たお店、鬼と化す人間… 人間の怖さ、厭らしさが描かれ、なかなかの怖さのある作品もあるが、人情の温かさを感じられる救いのある作品が多い。粒ぞろいの作品集でした。 2021/08/08
らむり
29
人情味心霊ホラーです。それほど怖くありません。むしろ時代小説として面白いと思いました。2013/04/11
れいぽ
29
今市子さんの美しいカバーイラストに魅かれて角川ホラー文庫にて再読。ぞわりとする江戸ふしぎ噺9編、どれも見事に内容を忘れてました(汗 ろうそくの炎が揺れる度に闇が揺らぐ読後感ですね。人と人との関係が密接だった分、憎しみも怨みも深かったことでしょう。愛情も人情も深かったことでしょう。宮部さんが平成に語る江戸の闇。そこにほんのり灯る優しさがしんと沁みてきます。2011/04/22