内容説明
亡くなった父が、貯金を崩してインターネット株取引!?頑なな郵貯派がなぜ。遺産はどこに。ある日住んでいた社宅が売られることに。僕ら一家は、住宅展示場をまわり始めた。でも、ローンって本当に大丈夫!?別称「リストラ村」に異動になった三好。ところが会社のネットワークにウィルスメールがばらまかれ、三好の研究が突如脚光を浴び―。誰にでも起こりうる危機。そんなときあなたはどうする?突如として起こった三つの一大事を、コミカルに描く短篇集。
著者等紹介
井上尚登[イノウエナオト]
1959年神奈川県生まれ。東海大学工学部卒。会社員を経て放送作家となる。99年『T.R.Y.』で第一九回横溝正史賞正賞を受賞し作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Walhalla
12
遺産・株・住宅ローン・リストラなど、中年サラリーマンなら経験する可能性のある「リスク」を焦点に描かれた短編集でした。 とは言え、暗いお話しではなく、読後感はどれも良かったです。 なかでも、『十五中年漂村記』のお話しが良かったです。(どこかで聞いたことのあるような響きですが・・・。) 明日も頑張ろうという気持ちになりますね。2016/01/12
さんつきくん
7
3編の中編小説集。バブル崩壊後の失われた10年が色濃く反映された描写が印象に残る。株を買おうとしたり。都内近郊に家を買おうとしたり。リストラされようとしたり。2000年代初期の不況を生きる中年サラリーマンが主人公だった。あの呪文のように不景気だ不景気だと繰り返し言われた当時が読んでて蘇る。「十五中年漂村記」は、目まぐるしく変わる時代に置いていかれ、戸惑う経営者に振り回される能力ある主人公が印象に残る。株を買う「お金持ちになる方法」が面白かった。私も株を買ってみようかなって、ちょっと思った。2025/06/14
ニカ
7
住宅病が1番面白かったですが、もっと軽い内容かと思ったら、意外に難しい話でした。全体的にはそんなに面白くはなかったです。2018/12/04
福猫
3
帯に書かれた『「まさかの時」のヒントあります』に妙に惹かれてしまった。(笑)。 短編だし、読みやすい。1話目に関しては、またしても自分でも出来るかもしれない…。と思ってしまう。だがしかし、株は恐くて手を出せないまま現在に至る。個人的に好きだったのは3話目ダナ。ロボットアニメ世代の人にはたまらない作品かも。2006/04/03
eo
3
大好きな井上さんの作品。短編小説もまた素晴らしい!一話目は株によるリスク。二話目は住宅購入によるリスク。三話目はリストラによるリスク。どれも正解はないし、正しい結論はないけれど、生きていく上で遭遇する確率は非常に高い。お話の最後にホロッとする家族愛が素敵♪2011/10/31