出版社内容情報
武田 友宏[タケダ トモヒロ]
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内容説明
大寺院の法会に集まった2人の老人が若侍相手に語る、14代176年間にわたる王朝の藤原氏の歴史物語。華やかな王朝の裏で繰り広げられる道長らのあくなき権力闘争の実態、花山天皇の破天荒な振る舞いや才能豊かな行成の逸話など、平安の都人たちの興味津々の話題が満載。平安という時代や「枕草子」「源氏物語」などの女房文学への理解を深め、古典を一層楽しく読むための最適な入門書。役立つコラムや図版も豊富に収録。
目次
『大鏡』上(雲林院の菩提講―序;策謀による天皇の出家―花山天皇;見えない御髪を撫でる天皇―三条天皇 ほか)
『大鏡』中(村上天皇の皇后安子の悋気と兄弟思い―右大臣師輔;師輔の吉夢、夢解きを誤って幸運を逃す―右大臣師輔;多才の行成、幼い天皇に独楽を献上、御心に適う―太政大臣伊尹 ほか)
『大鏡』下(顕信の乳母、出家の前触れに気づかず絶望する―太政大臣道長;道長の栄華を実現させた妻と娘たち―太政大臣道長;道長、胆力をもって兄弟・又従兄弟を圧する―太政大臣道長 ほか)
著者等紹介
武田友宏[タケダトモヒロ]
國學院大學文学部日本文学科講師(非常勤)。元神奈川県立高等学校教諭。1943年青森県生まれ。國學院大學大学院文学研究科博士課程修了。日本文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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❁Lei❁
38
藤原道長の栄華を批評混じりに語る、紀伝体の歴史物語。高校で習った話もあり、懐かしさを感じつつ読了しました。藤原公任は高飛車でお調子者なところがあるけれど、それに見合うほど実力の伴った大文化人なところが好きです。冷静沈着で明晰な三蹟の一人である藤原行成も好きなので、彼の父親の義孝の話が収録されていなかったのが少し残念でした。『古今集』撰者の凡河内躬恒が弓張月の歌を詠んだ話では彼の和歌の才能が溢れ出していて、改めて好きだと思いました。和訳、原文、解説という配置や巻末付録が充実している点が良かったです。2021/07/22
しゅてふぁん
36
興味を持ったのは、中関白家や道長一家はもちろん、菅原道真や村上天皇の話。時代が遠すぎて、今と何もかもが違いすぎて現実味がなく感じてしまうだけに、村上天皇は恐妻家とか、生身の人間ぽくていいなぁ。宮中の様子だけではなく、競射や賭け双六の話なんかも出てきて楽しかった。いつか、全文を読みたいな~。2016/11/09
フリージア
35
ビギナーズ・クラシックスで歴史物語「大鏡」 藤原摂関政治の時代を190才の世継と180才の繁樹が物語る、という驚きの始まり。文徳天皇と藤原冬嗣、この二人は孫と外祖父の関係で、ここから外戚による摂関政治が始まったという。藤原道兼が策謀によって花山天皇をご退位させた話、藤原氏が娘を東宮に入内させ、男の子を生ませて皇后や中宮とし、外戚として摂関政治を行い権勢を掴んでゆく様子を語っていた。道長は幼少の頃より胆力、武力に優れていた話もあった。歴史物語とはいえ抜粋のせいかつながりが良く分からなかった。2021/07/21
みつ
31
『大鏡』の入門書。導入部にあたる雲林院の菩提講から詳しく述べられ、この本の構成に自然と入っていける。読みどころを現代語日本語訳と原文で示すほか、さらにそれを補うコラムさらには関係するスキャンダルも加わり、面白さは倍化する。重要人物について述べる際には子孫にまで話が及び、むしろそちらが中心になる場合もある(頼忠の章で公任について触れられる)など紀伝体ゆえの時代の飛び方もあるが、巻末の年表が充実してるためこれを参照すれば混乱することはない。特に官位相当表、国司の四等級の区別、内裏図は大河ドラマの理解に必須。2024/06/02
fseigojp
20
9世紀後半から11世紀前半の200年間の宮廷政治が述べられている この時代の庶民については、日本霊異記などを読むべきか2020/03/03