出版社内容情報
昭和45年11月25日、三島由紀夫は楯の会の4人とともに陸上自衛隊に乱入、割腹自殺を図った。ノーベル賞候補にもなった天才作家は死を賭して何を訴えたかったのか?死までの5年間を克明に調査した傑作ノンフィクション!
内容説明
昭和45年11月25日、日本国内に衝撃が走った!高名な作家・三島由紀夫が、自ら組織した“楯の会”の会員4人とともに、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で東部方面総監を監禁、自衛隊員に決起を促す檄を飛ばした後、割腹自殺を図ったのだ。昭和史の解読をライフワークとする著者が、三島の死までの5年間を克明に調査。そして死後31年目にして語られる真実とは。
目次
三島由紀夫の檄文
序章 十年目の遺書
三島由紀夫の遺書
第1章 「最後の一年は熱烈に待った」
第2章 三島由紀夫と青年群像
第3章 「楯の会」の結成
第4章 邂逅、そして離別
第5章 公然と非公然の谷間
終章 「三島事件」か「楯の会事件」か
補章 三十一年目の「事実」
三島由紀夫の辞世の歌
著者等紹介
保阪正康[ホサカマサヤス]
ノンフィクション作家。評論家。1939年12月、北海道生まれ。同志社大学文学部卒業後、出版社勤務を経て著述活動に入る。近現代史(特に昭和史)の事象、事件、人物を中心にした作品のほか、医学・医療を検証する著作を発表している。現在、函館大学などで客員教授、講師をつとめるほか、「昭和史を語り継ぐ会」を主宰、『昭和史講座』を年二回刊行している
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
秋製
32
イベントの参加するにあたってテーマに沿うものとして選んだ本。 「三島事件」についての記述や、「楯の会」がどのように誕生し三島由紀夫とどう歩んできたかなどが書かれていた。 正直難しすぎて、1割でも理解できていたか怪しい。なのでこれ以上の感想は控えたい思います。2013/04/28
安南
18
もちろん、作者は三島の自決という行為を肯定的に捉えているわけではない。それでもなお、その行動に感銘を受けたであろうことは本書を読んでいて強く感じる。誠実な本である。『三島事件』ではなく『楯の会事件』としたタイトルにもそれは窺える。三島の死までの五年間が克明に調査されている。特に決行を思い定めてから一年間の細かな記述は刻一刻と近づくその日を思い、手に汗握る緊張感を持って読んだ。愛国エンタメがもてはやされる昨今、三島イデオロギーも再評価される可能性もあるかもしれない。それはそれで複雑な気もするが。2013/06/18
ぐうぐう
18
三島由紀夫の自決という事件は、切腹という衝撃的な方法、クーデターという動機、それらを試みたのがノーベル賞候補の小説家というギャップにおいて、40年以上を経た現在も、そのインパクトと動揺は薄れていない。だからこそ、人々はどこかで、そもそも納得することを放棄したうえで、この事件を眺めようとしている。狂気の沙汰といった言葉で片付けるほうが、ある意味楽だからだ。本書を読んでなお、三島の思想や思考に、全面的な共感や賛同を得ることは、なかなかに難しい。(つづく)2012/06/23
JUN
14
自分が生まれる前の出来事で、彼の著書も2~3冊程度しか読んでなく、あまり関心が無かったが、この本を読んで、多少関心が沸いてきた。彼の行動自体は賛否両論あると思うが、彼が行動に移すまでの心情などを元楯の会会員などの証言などから展開していく。すごく潔癖な性格で、最終的にあの行動を起こす事で、すべてを成就させようとしたのか?2014/01/31
佐島楓
13
いまだにこの事件がわからなくて、大掃除をしていたら出てきたので読んでみた。高校生くらいのときに買ったのだが、当時の私では読みこなせなかっただろう。「楯の会事件」が起こった当時の世相が本当に荒れていてびっくり。新宿で過激なデモがあったのか・・・。はからずも両親の青春時代を追体験することに。学生運動への理解も深まる。三島は人間的にはともかく文学者として天才だと思っているので、「書くことは捨てた」なんて投げやりなことを言わずペンで戦ってほしかったです。勉強になりました。良書。2011/12/15