内容説明
金田一耕助の探偵事務所で殺人事件が起きた。被害者は、その日電話をしてきた依頼人だった。彼女は、これから殺人事件が起きるかもしれないと相談に訪れたところ、金田一が戻ってくる前に青酸カリで毒殺されたのだ。しかも、その時、十二月二十日であるべき日めくりのカレンダーが何者かにむしられ、十二月二十五日にされていた。降誕祭パーティーの殺人を予告する犯人とは―(表題作より)。そのほか「女怪」「霧の山荘」の全三編を収録。本格ミステリの最高傑作。
著者等紹介
横溝正史[ヨコミゾセイシ]
1902年、神戸市に生まれる。旧制大阪薬専卒。26年、博文館に入社。「新青年」「探偵小説」の編集長を歴任し32年に退社後、文筆活動に入る。信州での療養、岡山での疎開生活を経て、戦後は探偵小説専門誌「宝石」に、『本陣殺人事件』(第一回探偵作家クラブ賞長篇賞)、『獄門島』、『悪魔の手毬唄』などの名作を次々と発表。81年、永眠
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感想・レビュー
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Kircheis
254
★★★☆☆ 表題作他2編を収録。 表題作はストレートな中編ミステリである。犯人の意外性はあまりなく全体的にあっさりしている。2つの殺人共にかなり無理があるのが残念だ。 短編の『女怪』は金田一の恋が正面から描かれる点で1番興味をそそる。分量は短いがどんでん返しもあって良かった。金田一のNTR属性が見どころ。 ラストを飾る中編『霧の山荘』も王道ミステリで悪くはないのだが、オチが途中で読めてしまうのであまり心に残らなかった。2021/03/13
buchipanda3
122
金田一耕助の中短編集。降誕祭(クリスマス)に起きた殺人事件を描いたものを含め3本収録。どれもこのシリーズらしい読み味というか後味を堪能した。表題作は、事件の真相よりも判明した後の描写に唖然。そして等々力警部のツッコミへの金田一の反応に呆然。「女怪」は何と恋心を抱く金田一が描かれる。いつもの飄々とした姿と違う一面を見せるが、それでもやはり彼らしさが感じられた。真相は放心。「霧の山荘」は霧に惑わされる金田一。逆に相手にやり返すところは流石。どの篇も表側ではなく裏側、人間の陰なるものが印象的な作品だった。2020/12/19
みや
52
金田一耕助シリーズの中編2作短編1作収録。金田一先生の部屋で依頼人が殺される事件から降誕祭のパーティーへと繋がる表題作は、芸能関係者が多いこともあり華やかな感触を持った。会話のキャッチボールが機知に富んでいて楽しい。特に一人ずつ関係者を尋問していく場面は、ドラマを観ているようだった。でも金田一先生が選んだ結末は嫌い。「女怪」は金田一先生の片思い相手が事件に巻き込まれる短編。独特な空気感があり、青臭いのに渋さも感じる不思議な作品で印象深い。男女の歪んだ恋愛感情は気色悪く、後味の良くない真相も好き。2017/07/04
かめりあうさぎ
39
金田一耕助シリーズ。中編2話、短編1話収録。全話面白かったです。犯人を自白させたり特定するのに罠を仕掛けたり、女性に恋をしたりと、色々な金田一先生が見れて楽しい。トリックや構成などどれも完成度が高く、現代のミステリに及ぼしている影響力の強さに改めて気づかされます。やはり横溝先生は素晴らしいですね。2018/01/02
佳乃
39
横溝ワールド、ワクワクドキドキ。まさかの犯人に「エッ」となり、いつもの金田一の恋心に哀しい結末に切なくなり。3つの話に今回も楽しませていただきました。2015/10/12
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