内容説明
過去最大の集団食中毒事件から一年余、再生を誓った「雪印乳業」はいま、子会社である「雪印食品」の牛肉偽装事件により、存亡の危機にさらされている。その姿は、食品メーカーとしての存在意義さえ忘れてしまった、巨大ブランドの完全なる凋落にほかならない―。ワンマン経営による拡大路線に狂奔するあまり、破綻の道を歩んだ「そごう」。消費者の安全より、欠陥によるダメージを嫌い、クレーム情報を隠した「三菱自動車」。なぜ、不祥事は繰り返されるのか。企業としての倫理はどこへ消えてしまったのか。大企業の深層を蝕む、「危機管理能力の欠如」を問うドキュメント。
目次
第1部 雪印―崩壊したブランド神話(「もう飲まへん」―失われた信用;「全社員に告ぐ」の教訓;全国展開の基盤、大阪工場の実態 ほか)
第2部 そごう―失速した拡大路線(破綻した名門;歴史の荒波にもまれて;突っ走った拡大路線 ほか)
第3部 三菱自動車―ユーザー無視の組織弛緩(「三菱」という呪縛;きしむ経営判断;蔓延した大企業病 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しーふぉ
14
もう大分記憶からも薄れ、そう言えばこんな事件あったなと思い出しながら読んだ。 笑っちゃいけないんだけど、雪印の食中毒に同じ時期に三回被害にあわれた方がいたのにビックリ! そごうの水島会長はどのような人だったのか興味を覚えた。社員や店舗の地元経済を真剣に考えていた一面もあったようで・・・2014/02/23
スプリント
8
ここで取り上げられている三社は過去の栄光に慢心し顧客軽視に陥ったことが共通しています。そごうは半ば意図的に経営者が虚業にのめり込んでしまったのが他の2社と違い単体で存続できなかった原因だと感じました。つくづく会社を存続・持続成長させることが難しいことだと実感しました。2014/10/04
churu
7
雪印乳業食中毒事件とそれに続く雪印食品牛肉偽装事件。そごうの破綻。三菱自動車リコール隠蔽。今となっては「そんなこともあったな」と懐かしさすら覚えるが、当時はどれも世間を騒がせた大事件だった。刊行当時に1/3ほど読んで放り出していた本書に久々に着手。淡々とした描写で、エモーショナルなノンフィクションを期待する向きには退屈かもしれないが、新聞記事らしい取材の厚みを感じさせる正統派のジャーナリズムとして興味深く読める。ただ三菱の記事だけ少し切り込みが浅いかな。リコール隠しの内実にもっと深く切り込んでほしかった。2021/10/19
はせこー
3
三社が起こした事件は、それぞれ違った要因があり、様々な問題点が浮かび上がっていた。 企業にとってのリスク要因はいろいろあるが、全て『人』を通じて問題が発生すると本書を読んで思った。2012/04/25
小堀高徳
3
雪印、そごう、三菱に関する企業不祥事を扱っている。これらに共通性を見いだし、リスクマネジメントすることが重要だが、大企業においてはなかなか難しい。企業文化なども合わせて読むと面白い。2010/07/06
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- 和書
- 巨大地主経営の史的構造