内容説明
早春の海岸にてバス停に降り立った老夫婦。画家である夫・籐三は妻のことをハルちゃんと少女のように呼ぶ。ふたりは行き先を決めず気ままな旅に出たのだった。旧友と呑み交わし、その孫と語らう心躍る時間。だがふたりの胸には秘められたある想いがあった…。男と女はいかに寄り添い、そしていかに死を迎えるのか?さまざまないのちの繋がりを見つめ直す旅。こんな余生をおくりたいと思わせる、穏やかに満ちてくる日々をやすらかに描いた灰谷文学の結晶。現代人を癒す至福の贈り物。
著者等紹介
灰谷健次郎[ハイタニケンジロウ]
1934年、兵庫県神戸市に生まれる。大阪学芸大学卒。十七年間の教師生活の後、沖縄・アジアを放浪。その後作家活動に専念し、1974年に『兎の眼』を発表、多くの読者の共感を得る。1979年、路傍の石文学賞受賞
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感想・レビュー
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あつひめ
67
灰谷作品初読み80代の夫と70代の妻。会話は繰り言ではなく、しりとりのようにどんどん先に繋がっていく。友との再会は、その人達の人生が走馬灯のように流れ、そして現代とも交錯する。昔も今も生まれた時は誰しも無垢の心を持っていたはず。何が昔と違ってしまったのか…。時代のせいにするか人のせいにするか。最近は、秘密が秘密でなくなったような気がする。誰かの秘密を内緒にできない大人が増えている。そんな中で信頼し合う関係が作れるのだろうか。この作品に出てくる藤三やハナのように年老いて会いたい友はいるだろうか。2017/01/11
ムーミン
30
読み進めるほど味わいが生まれる作品。始めは説教くさいかなと思って読んでいましたが、だんだん染み渡っていく感じでした。ハルさんがいいです。2020/10/19
Yu。
26
‥終末を迎えるまでに至っても、互いを尊重し合う気持ちは出逢った時から変わらない。。これ以上素敵な事はないですね(*´ー`*)2019/03/16
jima
25
久しぶりの灰谷作品。「母の面影をね、耳たぶの感触で思い出すのです。・・」85歳と78歳の夫婦の旅。2018/05/25
Nobuko
6
登場人物がみなすごすぎる 確かに正論なんだけど?な部分もありながら 確かに人間関係に必要なのは尊敬の気持ちだなぁ・・互いに尊重しつつ長い人生ともにできるのは幸せだろうなぁ・・と思いながら一気に読んでしまいました2018/02/12
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- 和書
- やさしい英語のリスニング