内容説明
ハードボイルドからピカレスク、冒険小説に任侠小説、クライムノベルにギャンブル小説と読みふける著者がそこに嗅ぎつけていたのは、ただ「余計者」たちの放つざらついた匂いだった。「もうそんな優しさはまっぴらだ。他人との協調など考えず、不愛想に、ゴツゴツと生きていかなけりゃやってられない」と呻く筆者が、不器用にしか生きられない男たちへの共感を語る。東西の傑作、名作に息づく余計者たちの心意気を、ジャンルを越境して綴る、決定的エンターテイメント論。
目次
余計者の文学
ピカレスクとしてのギャンブル小説―阿佐田哲也の世界
無鉄砲な男たち―西村寿行に見るデタラメの美学
ヒーローの変遷―ディック・フランシスの30年
イギリス冒険譚の戦後―アリステア・マクリーンの海
スパイたちの冒険―異色作家クレイグ・トーマス
血の噴出―北方謙三『逃がれの街』『檻』
放浪する男たち―船戸与一『山猫の夏』『銃撃の宴』
スペイン!スペイン!―逢坂剛『カディスの赤い星』
驚異のデビュー作―志水辰夫『飢えて狼』〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kadocks
5
北上次郎本。ハードボイルド冒険小説中心に文庫解説を手直しした書評集なのだが、茶木さんの解説の通り読み返したくなる本、読んでみたくなる未読の本がただただ増える。ロバート・B・パーカー論や阿佐田哲也論。再読したくなり麻雀放浪記はkindleで見つけたがパーカーは本棚のどこかに全部あるはずなんだけど売ったかなぁ。ほぼ絶版でkindleもないから古本かな。社会からはみ出した男たちを主人公にした本ー「余計者文学の系譜」いいね。北上さんが亡くなられた事で色々過去に遡ってみたくなるのが辛い笑 読まねばならない本が増える2023/06/11
Tetchy
1
非常に評価の難しい本だ。これは所謂“反則本”である。本書は、単に作者が各雑誌・文庫などに書き綴ってきた解説・評論を寄せ集めて1つにしただけなのだ。従って時折、内容の重複が見られ非常に見苦しい乱暴な作りになっている。しかし、内容はやはり北上次郎、面白いし、その読書作法には感心させられる。その広域な、悪く云えば手当たり次第な読書は、好きな物(者)は好きという実直さが見受けられる。それが故に勿体無い。2009/03/24
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