内容説明
私立探偵・四里川陣と助手の四ツ谷礼子のもとを訪れた依頼人は「息子の殺人容疑を晴らしてほしい」と泣きついた。事件の起きた亜細山に向かう礼子だが、電車で乗り合わせた老人は山にまつわる怨霊伝説を語る。礼子を悩ます、「密室殺人」ならぬ「密室」&「殺人」の謎。さらには、彼女の心に眠るおぞましい記憶が覚醒し、増幅していく…。絶妙のバランスでちりばめられたユーモアとサスペンス、どんな想像をも裏切る結末。ホラー界の気鋭が放つ異色ミステリ。
著者等紹介
小林泰三[コバヤシヤスミ]
1962年、京都府生まれ。大阪大学基礎工学部卒業、同大学院修了。現在、大手家電メーカーに勤務。1995年、「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞
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感想・レビュー
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aquamarine
81
ある雪の別荘における密室からの転落死。自殺か他殺か。密室を作ったその方法は?探偵・四里川陣に命じられて、助手の四ッ谷礼子が情報収集に頑張ります。普通にミステリを読んでいるつもりが、途中で、あ、これホラー文庫だった、みたいな描写がちらちらと…。伏線は綺麗で、時に冗長に感じる登場人物とのやり取りが、全てが明らかになったとき無駄のないものだと気付き驚きます。しかもこの物語の読ませどころは思っていたのと違うという、ピースがはまる快感もあり楽しめました。多くの個性ある登場人物の出てくる他の話も是非追いたいです。2018/02/02
そのぼん
25
不気味さはあったけど『ホラー文庫』のジャンルに入れなきゃいけないほどかと言われれば、そうでもない気がしました。 ミステリーとして読みましたが…。何とも形容し難い感じでした。怨霊伝説とか、電車の中で探偵助手が居合わせる老人は独特の雰囲気を醸し出していてよかったと思いました。2012/05/27
Yun
21
探偵の四里川陣(よりかわじん)と助手の四ツ谷礼子の元にある依頼が舞い込む。「息子の殺人容疑を晴らしてほしい」と。礼子は事件の起きた現場に向かい、容疑者たちから話を聞くが…。密室殺人では無く、密室・殺人。読んでいる途中に、何度か違和感を感じたが、最後まで読むとなるほど。作者が、小林泰三さんだけにホラー要素もありつつしっかりミステリーな一冊でした。2016/05/01
こら
20
小林泰三初読み!小林さんはひどいひどいと言われてたので(褒め言葉w)、身構えて読みました。出来がいいミステリだなと読んだら、最後の最後でこれかよ(褒め言葉w)!! 2013/10/06
ふう
13
なんだか無駄に長くモタモタした感じで、密室の謎もアクロバティックさを感じず(もっと大胆なトリックかと期待してたんだけど)。全編通して大きなトリック?も仕掛けられているが、こちらもラストでどーんと明かされても驚いたと言うよりポカンとしてしまった。うーんなんだかなあ。ユーモアってのもいまいち感じられず。何がどう残念なのかわからないんだけどなにか残念(なんだそりゃw)。2011/07/13