内容説明
貧困と不遇に苦しみながらも、片時も学問への情熱を失わなかった直良信夫。数奇な運命によって再会した女性教師が、彼の妻となり、考古学への道を支える。彼が発見した明石人骨は、当時の学界には認められないまま空襲で焼失。戦後、写真と石膏模型によって「明石原人」として脚光を浴びるが、のちに人類学者から否定され、発掘調査を待つことになる。父・信夫の「夢」を母とともに支えつづけた娘の視点から彼の生涯をたどり、たび重なる苦難を乗り越えて戦前、戦後を生き抜いた家族の姿を描く。
目次
序章 受賞そして訣れ
第1章 少年時代
第2章 ひたむきな向学心
第3章 音先生との結婚
第4章 明石人骨の発見
第5章 考古学者への道
第6章 失われた化石人骨
第7章 「明石原人」の誕生
第8章 博士号の取得
第9章 最後の講義
第10章 封じこめた夢
終章 「明石原人」は「旧人」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひろ
1
旧石器時代明石原人骨発掘者・直良信夫の人生を娘直良三樹子さんが記した。昭和初期、学びたいこともなかなか自由に学べなかった時代、本当に苦労して、家族の自分を犠牲にしてまでの協力を得て、明石原人が旧石器時代のものであることの確証が、本人の意識にはのぼらない時になってようやく得られるまでを描いた。直良氏のあまりにも一途な考古への想いには、感動しかない。2025/09/12
kentake
1
学者の嫉妬は恐ろしい。大学教授や科学者などになる方には道徳教育が必要だろう。直良氏のような生き方には憧れる。2012/05/11
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