出版社内容情報
「企業潜入」を命じられた特務捜査員が掴んだ戦慄の「黄金文書」の極秘情報とは・・・。ベールに包まれた「警視庁公安部」の実態を描く。
内容説明
スイスに本社があり、“死の商社”との疑惑がもたれているリンツグループの日本法人には、警視庁公安部からスパイ活動を命じられた特務捜査員が密かに送り込まれていた。広報室の加納係長、この男こそ二つの顔を使い分け、公安当局へ極秘情報を流し込む警視庁警部補だった。その加納の自宅へ柳沢警視からの電話が入った。去年の秋、環境事業部長の三島が視察に行ったヨーロッパはカムフラージュで、本来の目的は中東訪問にあったという。追跡調査を命じられた矢先、加納のもとにショッキングなニュースが…。元警視庁警部補の実力派が、ベールに包まれた警視庁公安部の実態を描く。
著者等紹介
佐竹一彦[サタケカズヒコ]
1949年、栃木県生まれ。明治大学卒。元警視庁警部補。90年「わが羊に草を与えよ」で、第29回オール読物推理小説新人賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タツ フカガワ
29
スイスに本社のある商事会社の日本法人社員加納は、じつは警視庁公安部の潜入捜査官で、同社三島のヨーロッパ出張の真の目的を探っていた。が、そんなおり三島が不審な死を遂げる。商社マンと公安官二つの顔を使い分ける加納に、やがて警察が疑惑の目を向ける。マムシの兵藤と呼ばれる個性的な刑事も登場するのですが、如何せん壮大な事件の真相にこちらの想像力がついていけませんでした。2021/10/02
智哉
7
先が読めない展開でなかなかよかった。壮大なプロジェクトの全貌が明らかになって、これからというときに終わってしまったのは残念。結局、暗殺された関係者は謎だらけのままで、ラストシーンはあまりに呆気なく、人生を賭けた結末としてはちょっと可哀想だった。2009/09/15
あかつや
7
死の商人であることが疑われるスイス企業の日本法人にスパイとして送り込まれている公安特務捜査員の加納。環境事業部の三島という男が中東で怪しげな動きをしていたということで追跡調査を命じられるが……。これ事件そのものはさほど重要じゃなくて、公安の人が裏でこんな事してますよ、大変ですねってのが物語の主題なんだろうなと思って読んでたら、最後の最後でぶっ飛んだネタ突っ込んできやがった。でもそれで、マジかよすげえじゃんってなってたら投げっぱなしジャーマンだったという。まあそれで結局は公安の人って大変ですねって感想だな。2021/05/07
まさ
5
加納の一生とは難だったのかと思ってしまうような結末でした。公安の潜入捜査官というのは実在するのでしょうかね。するとしたら、本当に大変だなと思いました。2018/03/11
くりのすけ
4
商社マンとして仮の姿をしている公安捜査官という設定なのだが、非常に地味すぎる作品であった。途中、イスラエルの領土問題などかなり話が飛躍してどういう展開になるのかと面白く読んでいたのだが、まさかあんなオチで強制終了するとは。個人的にはありかなとは思うが、事件の真相が知りたかった。2016/02/14