出版社内容情報
返還前夜、暴発寸前の沖縄の怒りと闇を描きだす傑作小説!沖縄返還直前、タカ派御用達の英字新聞記者・伊波尚友は、CIAと見られる二人の米国人から反戦運動家たちへのスパイ活動を迫られる。グリーンカードの発給を条件に承諾した彼は、地元ゴザへと戻るが――。
馳 星周[ハセ セイシュウ]
著・文・その他
内容説明
施政権返還直前の沖縄、那覇。英字新聞リュウキュウ・ポストの記者・伊波尚友は、ある日ホワイトとスミスと名乗る2人のアメリカ人から反戦活動に関するスパイ活動を迫られる。離島出身ゆえに幼少の頃から差別を受け、沖縄にも日本本土にも憎悪を募らせる尚友は、グリーンカードの取得を条件に承諾。コザに移り住み、反米反基地活動に身を投じながら情報を集めていく―。
著者等紹介
馳星周[ハセセイシュウ]
1965年、北海道生まれ。横浜市立大学文理学部卒業。96年、『不夜城』でデビュー。翌年、同作品で第18回吉川英治文学新人賞を、98年、『鎮魂歌―不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞を、99年、『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
376
1972年、本土復帰直前の沖縄を舞台に描くスケールの大きな小説。分量的にも上下巻で1400ページの力作である。主人公のアナーキスト尚友の語りで描かれる沖縄は負の躍動感と諦念とが同居する。世上の騒然たる動きと、尚友の鬱屈した情念とが交錯するところに小説世界が拡がってゆく。時はまたヴェトナム戦争の最中でもあったのであり、沖縄は大勢のヴェトナム帰還兵で溢れてもいた。米軍の中の黒人兵と沖縄の人々とはっ相互に暗喩的な存在でもあった。馳の筆致は様々な意味においてリアルだ。2021/09/27
巨峰
42
マグマが溜まっている、地表スレスレまで。それが、ときどき、少しだけ、吹き出している。そんな緊迫感と緊張感がこの長大な小説に漲っている。本土復帰前の沖縄。コザが舞台。2021/12/04
koba
25
★★☆☆☆ 2019/03/27
みどり
5
沖縄返還は私にとってはもう、学校に通っていて、 きちんと授業を受けて、テレビでそのニュースを生で見ていた話。 家族旅行で沖縄に行くときには、パスポートが必要だった時代。 それを、「平成の時代」に、タイムスリップしたような感覚で描かれているのを読むのはすごく不思議だった。長い話、下巻が気になる。2021/09/07
なかなこ
5
非常に面白いです。相変わらずすごいボリュームなので睡眠時間がどんどん削られます。下巻へいきます。2015/08/02