出版社内容情報
世界のはしっこでひっそりと生きる人たちの喜びと哀しみにそっと寄り添う。静かで硬質な筆致のなかに、冴え冴えとした官能性やフェティシズム、そして深い喪失感がただよう――。小川洋子の粋がつまった粒ぞろいの佳品を収録する極上のナイン・ストーリーズ!
小川 洋子[オガワ ヨウコ]
著・文・その他
内容説明
世界の片隅でひっそりと生きる、どこか風変わりな人々。河川敷で逆立ちの練習をする曲芸師、教授宅の留守を預かる賄い婦、エレベーターで生まれたE.B.、放浪の涙売り、能弁で官能的な足裏をもつ老嬢…。彼らの哀しくも愛おしい人生の一コマを手のひらでそっと掬いとり、そこはかとない恐怖と冴え冴えとしたフェティシズムをたたえる、珠玉のナイン・ストーリーズ。
著者等紹介
小川洋子[オガワヨウコ]
1962年、岡山市生まれ。早稲田大学文学部卒。88年、海燕新人文学賞を受賞。91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞受賞。2003年刊の『博士の愛した数式』がベストセラーとなり、04年、同書で読売文学賞、本屋大賞、『プラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、06年、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
249
それぞれの素材そのものは日常の範疇に収まるのだが、それら相互が関係性の中に置かれた時、奇妙な逸脱が始まる。例えば、巻頭の「曲芸と野球」にしても、グラウンドで野球をすることは、きわめて日常的な光景なのだが、その片隅で曲芸師が時には瀕死のケガを覚悟しながら芸の稽古に励むとなると、そこに俄かにある種の歪みが生じて来るのだ。こうした、事物やあるいは登場人物相互の関係性の異和が、小川洋子に特有の物語世界を紡ぎだしてゆく。篇中では「銀山の狩猟小屋」のサンバカツギ、あるいは「涙売り」が怖さでは筆頭か。2012/10/16
さてさて
226
『お客様のご希望を伺い、それに見合う物件をご紹介するのが、私どもの仕事ではございません。その逆です。物件が求める住人を探すこと、それが我々の役目なのです』。一見どこにでもありそうな日常の中に、ちょっとした違和感が描かれるこの作品。そこには、まさしく小川洋子さんらしい9つの物語が描かれていました。突然出現するグロテスクな展開にギョッとするこの作品。そんな展開をも大らかに包含する”小川洋子ワールド”の魅力に囚われるこの作品。「夜明けの縁をさ迷う人々」という書名の絶妙さに納得する不思議な魅力に溢れた作品でした。2026/03/15
風眠
194
世の中の片隅で、ひっそりと生きていくこと。良くも悪くも執着し、自分で選びとった生き方を貫くこと。それは覚悟、だ。他者からは決して理解されなくても、ほんの少し病んでいたとしても。曲芸に一生を捧げた女、恋の果てに相手夫婦を手にかけた女、エレベーターで生まれ暮らし続けた男、訳あり物件の言い分、自分の体を切り刻み愛した男に涙を与え続けた女、死んでしまった大切な人との思い出だけで生きていく女、作家だった祖父が遺した作品になぞらえ官能を語る老女など、『夜明けの縁をさ迷う』ように、現実と夢のはざまに生きる人々の短篇集。2016/08/20
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
189
他の方も仰っていたけどこの方の作品は完璧過ぎて、その世界に1ミリの無駄もなくて、ひと言でも足してしまうと余計な気がして感想が難しい。 淡々と起伏のない日常の世界が徐々に歪む、まさしく「夜明けの縁をさ迷う人々」の9つの短編。日常の美しさはそのまま、少しずつどこかが架け替えられていく歪みにうっそりと揺蕩う。どこまでも音のない原っぱにひっそりと天を支えるエレベーターのテスト棟。銀山の薄暮れに悲しく響くサンバカツギの鳴き声、身の痛みに効力を増す涙。こわい。いとしい。美しい。小川さんの作品はいつも心を静めてくれる。2019/05/24
エドワード
122
今回は不気味さがいつになく濃い。夜明けの縁をさ迷う人々=??奇妙な人間達のお話。いつもながら小川洋子の文体は歯切れよく、さくさくと淀みなく展開する。他の作家ではこのような奇妙なストーリーをここまで淡々と描くことはできないのではないか。まさに小川洋子ワールド。「教授宅の留守番」「イービー」「涙売り」は救われない結末でいまひとつ。「曲芸と野球」「パラソルチョコレート」の2作は心が温かくなる結末で読後感が爽快だった。2011/03/29
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