感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
東京湾
7
「武士道といふは死ぬ事と見附けたり」の一節で広く知られる武士の心得。本書は十六世紀に書かれたこの古典を現代語訳し、さらに忠誠や修業といったテーマごとに再編している。現代においても通用する金言、と一概に言うことはできない。あくまで封建時代、武士という存在の理想であって、その要は滅私奉公、言ってしまえば精神論の極地である。しかしまえがきで「理想の偉大さは極端論のなかのみにある」とあるように、ここで語られる人生への真っ直ぐな姿勢、その凜とした在り方には読んでいるだけで自然と襟を正すような影響力があった。名著だ。2020/04/24
うえ
4
「だし抜けに首を撃ち落とされても、ひとはたらきは十分に出来るものだ。新田義貞の最期が証拠ではないか。心がふがいないから、なすところなく倒れてしまうのだ」そんな無茶な「技芸にすぐれていると言われる人は、馬鹿といってもよいくらいの者だ。これはただ、この道一つにしがみついているという愚かさがあるので、他を省みないから上手になるのだ。何の役にも立たぬ人間だ」そりゃそうかもしれんが…「忠も孝も、考える必要はない。武士道においては、死物狂いだけがあるのだ。この中にこそ忠と孝は自然にふくまれていると思えばよい」2015/06/11
いい日
1
精神論の極北。滅私奉公の精神を持ち続けるための心がけというのが主旨なので、共感する部分は少ないですが興味深い言葉がいくつもありました。これを全部実行したら、主君のための自殺(切腹・討ち死に)マシーンになります。上の人間には都合がいいでしょうが。困ったら、後腐れなく死んでくれますから。「理屈で考えるな」というような言葉もちょいちょい入っていて、洗脳のようなやり方だなと。2010/08/25




