内容説明
芸術の域にまで高められた「茶道」の精神を紹介しながら、伝統的な日本文化の独自性を詩情豊かに解き明かした名著。日本文化が大切に育んできた自然と人間の調和共生の関係は、環境破壊の進んだ今日、わたしたちに心の豊かさと新たな文明の指針を与えてくれる。
目次
第1章 茶碗にあふれる人間性
第2章 茶の流派
第3章 道教と禅
第4章 茶室
第5章 芸術鑑賞
第6章 花
第7章 茶人たち
著者等紹介
大久保喬樹[オオクボタカキ]
1946年生まれ。東京大学教養学部教養学科フランス科、同大学院比較文学比較文化修士課程を経て、フランス高等師範学校およびパリ第三大学に学ぶ。東京女子大学日本文学科教授。比較文学比較文化専攻
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kazi
33
日本文化を世界に広めた人物として名高い岡倉天心の「茶の本」。茶の本と銘打ってはいますが、茶や日本という枠組みを超えて、道教を起源としたアジアの平和主義、東洋文化全般という広いテーマを扱った本です。想像していた以上に攻撃的な文章に驚いた。当時の列強国に追いつこうと焦る日本の西洋至上主義、また欧米において根強い日本アジア蔑視への苛立ちがそうさせたのだと思うが、西洋の文化をいちいち比較対象に持ち出して厳しく攻撃しています。アジアの文化、精神を絶対に西洋に認めさせるぞ!という気合が感じられて素晴らしいです。2020/05/07
sasara
30
岡倉天心原文the book of tea 1906年M39米国発表。 日本の茶道を欧米に紹介する目的だったが日清戦争に続き最強ロシアとの戦争1904-1905にも勝利したことにより本書にも注目が集まる。死の術武士道だけではない生の術茶の道を通じて日本の美意識東洋的と西洋的思考の違いを。 解説で恋多き天心さんを知ることも出来ました。2021/07/21
タツヤ
25
西洋と東洋、美に対する考え方が全然違うんだなあ、ということがわかった。老荘思想、禅についても調べたくなる。前半はスゴい。後半は飛ばし読み多い。2023/02/25
デビっちん
20
茶という文化は、身近な暮らしの要素でありながら、芸術にも、哲学にも、あるいは宗教にもなる変幻自在の性質、という一文に惹かれました。また、道(タオ)とは通路ではなく移り変わること、という一文にも惹き込まれました。2021/04/11
33 kouch
18
茶道は不完全なるものへの崇拝。不完全の宿命を受け入れ、ただそんな中でも可能なものを成し遂げようとする心やさしい試みが「茶道」、という言葉に重みを感じる。ふとした身近なことに美を見出すことは我々の人生を豊かにしてくれ思わぬ気づきを与えてくれる。 以前から「茶道」にとても関心があるがまだ踏み込めていない。 ただ実践の前に茶道の成り立ちや精神性を知ることが出来たのは大きいと思う。茶道としてでなく東洋文化や芸術を知るという意味でもとても勉強になる1冊。2023/01/22
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