出版社内容情報
『心経』に込められた仏教根本思想『空』の認識を、その否定面「色即是空」と肯定面「空即是色」の二面から捉え、思想の本質を明らかにする。日本人の精神文化へと誘う、『般若心経』の味わい深い入門書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kazuさん
26
1934年 (昭和9年) に仏教学者である高神先生がラジオ放送した内容の書籍化。90年前の放送と知って驚いた。「空」の概念を知るために読んだ。「空」は仏教のエキスであり、1文字の中に色々、複雑かつ深遠な、哲学や宗教が、ことごとく織りこまれていると。因縁によって相互に関連し合ってできている一切の事物、すなわち五蘊 (色、受、想、行、識) の集合、は何一つとして永遠に存在しているものはない。万物は流転する。その文脈から、移り変わって行く実体のない状態を「空」と表現するのだと考えた。2024/01/11
姉勤
25
終戦後の著作。敗戦という既存の価値観が崩壊した時代に求められただろうと。般若心経の解説本というよりは解釈本。経文を分解し、各章で講義する。仏典を教義的に解くわけでなく、キリスト教や、古今東西の文芸作品、哲学、詩や俳句からも紐付け、一般人も理解しやすく説いている。心経には一字もない「因縁」が主なテーマ。自我というOSが必然にも似た偶然のパッチワークであり、そのOSを載せ替えれば、今感じている苦痛、、悩み、恨み、快感も、ただの意味のない情報群に変わる。その逆も然り。気づかなかった安寧も静寂も、既に得ている。2024/12/30
harhy
8
もう80年くらい前のものか。それにしてもわかりやすくて、深いなあ。2023/04/15
流之助
8
読むのに時間かかりました。般若心経について、少しは理解が深まったかな。般若心経についてのことだけでなく、他の名著の名言にも触れており、自分の世界を拡げる一助となると思います。2014/01/26
tunehiro
8
大乗仏教の真髄を300字余りに凝縮した心経。高神氏の講義が元になっている本書は、心経を理解するための基本的テキストのひとつ。非常に丁寧な説明と周辺知識の宝庫。じっくり読ませていただきました。2011/02/20