角川文庫 スコッチに涙を託して

レヘイン，デニス【著】〈Ｌｅｈａｎｅ，Ｄｅｎｎｉｓ〉/鎌田 三平【訳】

角川書店（1999/05発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 368p／高さ 15cm
• 商品コード 9784042791010
• NDC分類 933
• Cコード C0197

出版社内容情報

上院議員のもとから失踪した黒人掃除婦。彼女は議員の秘められたスキャンダルを撮影した写真を持ち去っていた。写真の奪回を依頼された探偵パトリックとアンジーは、写真を巡る陰謀に巻き込まれていく。上院議員のもとから失踪した黒人掃除婦。彼女は議員の秘められたスキャンダルを撮影した写真を持ち去っていた。写真の奪回を依頼された探偵パトリックとアンジーは、写真を巡る陰謀に巻き込まれていく。

デニス・レヘイン［デニスレヘイン］
著・文・その他

内容説明

古都ボストンに探偵事務所を構えるパトリックとアンジー。彼らのもとに二人の上院議員から依頼が舞い込んだ。「重要書類を盗んで失踪した掃除婦ジェンナを探してほしい」たやすい依頼に法外な報酬。悪い予感は的中した。辿り着いた彼女の家はもぬけの殻、そして何者かに荒らされた形跡。書類を探しているのは議員たちだけではなかった。街に銃声が鳴り響き、屍が積み重なる。戦場と化したボストンのストリートを失踪する二人の前に姿を現した澱んだ真実とは―。「探偵パトリック＆アンジー」シリーズ、待望の日本上陸第一弾。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[セウテス]

探偵パトリック＆アンジーシリーズ第１弾。作者デビュー作品、久々のチャンドラー派であろう。よってクールで無口な探偵の物語ではなく、ウィットに富んだ現代的な会話に魅力ある作品。パトリックとアンジーは幼なじみで、探偵事務所のパートナー。パトリックはアンジーをずっと思っており、アンジーも分かってはいるが、2人の幼なじみで昔と変わってアンジーに手をあげるロクデナシになってしまった夫がいる。この人間関係の行方も、シリーズの楽しみの一つである。DVや児童虐待、人種差別などの問題を背景に、洒落っ気ある文体が気持ちいい。

2019/07/27

[こばまり]

初ルヘイン。私が認識した頃にはすでに人気作家でしたので、こんな作品もあったのかと。邦題で損している感がありますが、読み応えは充分です。登場人物の肉付けが見事で主人公アンジーのハンサムな女性像もよい。90年代のボストンを彷徨い久々のハードボイルドに酔いしれました。

2015/09/03

[眠る山猫屋]

タイトルはアレだが。映画化された四作目の原作を読めるならと手に取った一作目。古都ボストンの探偵パットとアンジー。幼なじみな二人だが、アンジーが結婚したもう一人の幼なじみフィルは見る影もなく落ちぶれ、今やＤＶ夫。それでも見捨てないアンジーに、気持ちを秘めたままのパット。切ない。そんなコンビが巻き込まれた黒人マフィアの対立。追い詰められていく二人の行く末は。性格破綻した助っ人ブッパや、やさぐれ刑事コンビ、暗黒街王子ローランドなど魅力的な登場人物たち。パトリックよりアンジーの方が地に足がついた感じは映画も一緒。

2019/03/23

[スー]

73探偵パトリックとアンジーのコンビシリーズ第1弾です。上院議員から書類を盗んで姿を消した黒人女性を探す依頼を受けたパトリックは単純な仕事と思っていたら、いきなり黒人に襲われたと思ったら黒人ギャング命を狙われる事になり事件は予想外に大きくなっていく。パトリックと父親の確執・アンジーと暴力夫・白人と黒人の確執織り交ぜ真相に迫る読みづらい所もありましたけど楽しめました。今後ふたりの関係がどう変化するのか楽しみです。

2020/05/27

[Hideto-S@仮想書店 月舟書房]

『パトリック&アンジー』シリーズ第一弾。幼馴染の二人は共同でボストンに探偵事務所を開いている。アンジーは人妻。彼女の夫は共通の友人。だけどパトリックはアンジーに愛情を抱いている。ボストンを舞台にしたハードボイルドでは、パーカーのスペンサーシリーズが有名ですが、本作で描かれるボストンは貧困と暴力が蔓延するダークな側面が強調されています。上院議員の依頼で失踪した掃除婦の行方を追う二人は、対立するギャング団で殺し合いを演じる彼女の夫と息子に出会うのです。社会派ハードボイルド+切ない大人の初恋。全6作。

2014/05/06