内容説明
古来より、恐ろしい闇の生き物として人間に取り憑き、“生命の源”である血を啜ることで不死の存在であり続けるとされた「吸血鬼」。ブラム・ストーカーの古典的名作『吸血鬼ドラキュラ』以後も、このモンスターのイメージは様々な小説のモチーフとなり続けている。本書では、本邦初訳の古典から、S・キング、A・ライス、R・ブラッドベリ、W・アレン等、現代の超一級の幻想文学作品までを幅広く取り上げる。いまだかつてない、吸血鬼物語の集大成。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nakanaka
61
21の短編から成るヴァンパイアに関する作品集。ヴァンパイアに関する話が好きな方には堪らない作品なのではないでしょうか。S・キングやR・ブラッドベリ、W・アレンなどの作家がヴァンパイアモノを扱っていたことが興味深かったです。短編というより作品紹介のような意味合いもあって意図的に短く編集して載せているものもあるようでした。編集したピーター・ヘイニングさんの熱意に驚きます。どの作品も面白かったのですが、途中でちょっと飽きてしまったというのが本音です。それにしても随分と読了までかかってしまいました。2021/09/06
kasim
27
ポリドリに追従する作品からヴィクトリア朝を経て現代まで、20編余りのアンソロジー。執筆陣は豪華で多様な一冊。大長編の冒頭部だけだが、清教徒革命期に端を発する『吸血鬼ヴァーニー』が魅力的で追いかけたくなる。デュマとの共作名義で作者はほぼボカージらしい「蒼白の貴婦人」もチャンバラゴシックで王道な感じ。現代はウディ・アレンなどコメディも楽しい。スタージョンは前半壮大な物語を感じさせるのに尻切れとんぼで終わってしまう。ゼラズニイも短すぎて今一つかなあ。2023/12/30
尾白
16
短編集なのに、長かった!600頁に迫る勢い。古典では吸血鬼というより「不死者」の側面が強い。そして昔から今にかけて吸血鬼の自由なことと言ったら!自分のイメージがいかに偏っていたか。吸血鬼は優雅で、美形で、退廃的。そして吸血のシーンは耽美的。(インタビュー・ウィズ・ヴァンパイアのイメージ) …小説家さん達の想像力、とんでもなかったよ(笑)2019/08/26
5〇5
7
血は生命の源であり、生の象徴と言える。それを侵蝕する吸血鬼という存在はおぞましくもあり、スリルと興奮をもたらすものなんだよな。吸血鬼物語一挙21作品を読み通してみたよ。もう血液でお腹いっぱいだよ。それで思ったのが、「吸血鬼」って、無限のバリエーションを生み出す魔法のモチーフだね。(K)2024/03/19
romance_holic
5
ヴァンパイアロマンス大好物な私ですが、古典的な作品は高校生ぐらいを最後に読んでいないなと思い図書館で借りた本。おどろおどろしいゴシック調の雰囲気の短編満載。 トゥルーブラッドとか、ブラックダガー兄弟団とかは、吸血とか、血で生きるといった設定はあるものの、ヴァンパイア伝説に新しい解釈を加えていますね。 数日前の新聞記事で実際にヴァンパイアハンターとして活動した人もいたらしいと読みましたが、こういった伝説・創作物に煽られて無実の人が惨く殺されたこともあったんではとか勝手に想像して背筋の寒くなる夏の夜。2012/08/01
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