内容説明
ベロニカは全てを手にしていた。若さと美しさ、素敵なボーイフレンドたち、堅実な仕事、そして愛情溢れる家族。でも彼女は幸せではなかった。何かが欠けていた。ある朝、ベロニカは死ぬことに決め、睡眠薬を大量に飲んだ。だが目覚めると、そこは精神病院の中だった。自殺未遂の後遺症で残り数日となった人生を、狂人たちと過ごすことになってしまったベロニカ。しかし、そんな彼女の中で何かが変わり、人生の秘密が姿を現そうとしていた―。全世界四五ヵ国、五〇〇万人以上が感動した大ベストセラー。
著者等紹介
コエーリョ,パウロ[コエーリョ,パウロ][Coelho,Paulo]
1947年ブラジル、リオデジャネイロ生まれ。世界中を旅した後に音楽とジャーナリズムの世界へ入る。1987年、初の著書『星の巡礼』を出版して注目を集め、88年に発表した『アルケミスト』が世界中でベストセラーになる。現在は世界を旅しながら精力的に執筆活動をつづけている
江口研一[エグチケンイチ]
翻訳家、ライター。ノヴェラズ、映画字幕翻訳などで活躍中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
231
著者のコエーリョはブラジルの作家だが、本書ではスロヴェニアのリュブリャーナが舞台だ。物語は、西側の資本が投入され最先端の医療水準を誇る精神病院ヴィレットの中で展開する。そこはもちろん監獄ではないものの、比喩的にではなく、、文字通りの徹底した閉鎖社会であることに変わりはない。著者自身の体験にも基づくようなのだが、その中では管理が何よりも優先する。そして、それを可能にするものが鎮静剤の注射であり、ECTと称される電気ショックなのだ。病院の中も外と同じ―あるいはそうかも知れない。どこまでも暗く陰鬱な物語だった。2013/07/16
どんぐり
116
24歳にして、自分の存在にはもう意味がないと自殺を図り精神科病院で目覚めたベロニカ。医師からは心臓が壊死し、数日の命と宣告を受ける。コエーリョのこの小説は、狂気とは正常とはといった問いを発しながら、ベロニカの数日の入院生活を描く。舞台はスロベニア、多分にユーゴスラビア紛争が投影されている。王国を崩壊させようとした魔法使いが井戸に魔法の薬を入れ国民みんながおかしくなったにもかかわらず、幸せに暮らした王様の寓話、向こう側でもこちら側でも人は一緒にグループをつくり、邪魔されないように壁をつくるといった文章を忍ば2021/01/29
のっち♬
103
自殺未遂を起こし『心臓がそのうち動かなくなる』と言われた主人公は、精神病院の中で医師や患者たちと過ごながら自身と向き合っていく。「わたしたちはみんな、なんらかのかたちで、狂ってるのよ」死を目前にした主人公や深い混沌を抱えた男女を通して、過剰な秩序の中で普通であろうと自身を抑圧することが返って狂気に繋がってしまう人間の危うさや、夢を見て生きる勇気を持つことの大切さを綴ったスピリチュアルな作品。自身の体験に基づいたような治療風景の描写が生々しい。後半は主人公の存在がやや希薄で、行動に唐突さを感じるのが惜しい。2020/09/05
ゆのん
83
若さ美しさ、堅実な仕事、素敵なボーイフレンドたち、愛情溢れる家族。全てを持っているように思えるがベロニカは何か欠けているがために不幸だった。ある朝睡眠薬を大量に飲み自殺するも目が覚めると精神病院。自殺未遂の後遺症で数日しか生きられないと知る。精神病まではいかなくても『変』や『普通』の意味を考えさせられる。多数派は『普通』なのか。だとしたら個性は?自分らしく生きる事が難しい世の中で上手く生活出来ない人は『変』なのか。色々と考えさせられた。2018/07/31
びす男
63
「死ぬことにした」女はどう生きるか?一瞬、一日を生きることの意味を、「死」への強い意識によって浮かび上がらせている。「一日を一生のように真面目に、一生を一日のように気楽に生きたい」という言葉がある。ベロニカが手にいれたのは、そんな生き方なのではないかと思う。瞬間に感謝し、やりたいことをやる。狂っているから、できること、学べることもあるということか。2016/03/26
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