内容説明
“マリオン・マーシュここに住めり…”ニックと妻のジャンが、移り住んだ古い家の壁紙の下に見つけた口紅のなぐり書き。その落書きは、かつてこの部屋に住んだ無名の女優マリオンが残したものだった。彼女は才能を認められ、いよいよハリウッドへという前夜に、自動車事故で急死していた。落書きを見つけた数日後、偶然にもニックとジャンは、マリオンが最後に出演した映画をTVで見た。ほんの端役だったが、マリオンの印象は鮮やかだった。そのとき、ほの暗い部屋のどこかからニックに囁く声がした。ジャンの体にマリオンが憑依している…。映画を愛する人すべてに贈るノスタルジック・ファンタジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kochi
23
ニックとジャンの若夫婦が、サンフランシスコの中古アパートの壁の「マリオン・マーシュここに住めり」との落書きを発見したことが全ての始まりだった。サイレント時代の女優マリオンはハリウッドへの進出を夢見ていたが、その直前に交通事故死していた。幽霊として二人の前に現れた彼女はジャンに憑依して、自分の夢を果たそうとロサンゼルスに乗り込むが…『聊斎志異』的な展開や、喜劇的なシーンもあったりして、どんなところに落ち着くのかと思っていたら…検索するとコメディとして映画化されていた。見たいような見たくないようなf^_^;2014/05/27
Y.Yokota
4
正直、ストーリーはフィニイにしては凡庸な出来だと思う。だからフィニイを読んだことがない人にはオススメしない。この本はフィニイが映画が好きだという事、それもおそろしく熱狂的なレベルで好きだという事が伝われば良いのだと思う。それはマリオンがほんの僅かな時間のみ登場した映画を観るシーンだったり、最初の見開き2ページを埋め尽くす映画人達に向けた最高の献辞によって示されている。はっきり言ってこの本のクライマックスはこの献辞だと思う。自分は映画は詳しくないけど、ここに出る作品たちが素晴らしいであろうことはわかる。2018/02/25
あたびー
2
25年ぶりの再読。フィニィのいにしえの映画の知識には到底着いて行かれないが、1920年代に生きた若い女性を目の当たりにいるように描き出す表現力には圧倒される。大好きなのは、タクシーの中でマリオンとジェイがかつらを脱いだりかぶったりしながら、スタジオに行くか行かないか揉めるシーン。如何にもアメリカ映画のワンシーンになりそうだ。終盤出てきたヴァレンチノ主演のギャッツビー、見てみたかったなぁ。2018/07/24
Sensyuraku
1
若くして死んだ女優の幽霊にとりつかれた夫婦の話。フィニィなのでノスタルジー山盛り。正直全体としては退屈な話。でも終盤の貴重な映画フィルムの山の中でどれを見ようと右往左往するシーンだけはとても良かった。2015/05/13
kiji
1
★3。サイレント時代にスターになりそこねた女優が、幽霊になって現代(といって1970年代)でやり直そうとするファンタジーでした。フィルムは保存が難しいためわずか数十年前でも貴重な史料なのですね。デジタル化した現代とは隔世の感があります2013/09/28