内容説明
来世紀までこの世に影響を及ぼすであろう愛と死の病―エイズが蔓延する現代。〈わたし〉は窒息しそうなほどの熱気と臭気に満たちバンコクに降り立った。22年前、戦地ベトナムから7日間の休暇で訪れたこの地で、あの日追い求めた欲望と、失ったものの痕跡を辿るためだった。官能を超えた情痴の先にあるものは…。『ローカス』誌最優秀中編賞受賞作「バンコクに死す」他、愛と死の僅かな狭間を描く5つの物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
77
ネイティヴ・アメリカン神話でもある「歯のある女と寝た男」では大好きな『ダンス・ウィズ・ウルヴス』が主人公のラコタ族から見れば、ラコタ族の誇りを汚した噴飯ものの映画であり、尚且つ、それを受け入れている次世代へのショックがインパクト大過ぎます。『大いなる恋人』は戦争の記録と兵士達の詩を踏まえて戦争の惨さとそれに対する作者の怒りがヒシヒシと伝わってくる。蠱惑的な死神と枕を共にすると命の危機に晒される大怪我は負うものの決して死ないジェームズ。安静にしていないといけない彼を戦場に送り返そうとする軍部に憤りを覚える。2017/08/23
おーすが
13
タイトル凄いし割と有名なのかなと思って読み始めたけどなんかダメだった。思い切って挫折。グロいというか生理的に無理。グロ耐性あるんだけどダンシモンズはガチっぽいところが怖くて。ハイペリオンは面白かったけどなあ。串刺しいややー。2020/06/10
けいちゃっぷ
6
中篇5作収録。中でも「大いなる恋人」が群を抜いて良かった。読み逃すところだったぜ。490ページ2010/04/02
とも
5
「バンコクに死す」がバンパイアものとして有名。ただ時代が変わり医療の発達でインパクトが薄れたかもしれない。2023/07/09
とも
4
久しぶりに再読。珠玉の中短編が五つ、全部よい。その中で特に印象に残ったのは「真夜中のエントロピーベッド」と「大いなる恋人」の2編。前者は親目線で読むとリアルすぎて怖い。後者は死と隣り合わせの状況で乙女との逢瀬が描かれる、そのギャップと重ね合わせがすごい。2023/07/16