内容説明
KKKが支配するテキサス東部の街グローブタウン。この街で黒人の獄中自殺事件の真相を探っていた美人黒人弁護士フロリダが失踪した。「彼女も殺されちまったのか?」最悪の事態を憂いつつ、ストレートの白人ハップとゲイの黒人レナードのコンビは、警察さえも手出ししない狂気の街に乗り込む。人種差別者の巣窟で二人が出会うのは、役立たずの警察署長、サディスティックな街の名士に、リンチ好きな街の住人たち。記録的な豪雨と雷鳴の中で二人が目にした事件の真相とは…ダーク・サスペンスの大家が放つ戦慄の怪作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ずっきん
59
再読。ストレートの白人ハップと、ゲイの黒人レナードシリーズ3。失踪したフロリダの消息を追い、人種差別の巣窟の街へと乗りこむ二人。舞台も事件も胸糞悪いどこじゃないが、初っぱなの三行で爆笑、さらに研きがかかった品性の欠片もない会話と、意外に詩人なハップの胸中吐露、読み手の期待をあっさりへし折る展開がもう見事。レナードが恋人ラウルにぶちかますマッチョの矜持にゃしびれるし、ハップが見る光景は美しく哀しい。タイトルと余韻に嘆息。日本では最初に翻訳されたけど、「ムーチョ・モージョ」から読んだ方が断然いい。最高っす!2018/11/08
白玉あずき
23
「男の一分が立たない!」マッチョなプライド炸裂の一冊。やれやれ、女の私にもわかるけどね・・・・「男」を立てるのも大変だ。最後は泥と腐肉でぐちゃぐちゃの巻。1巻目でお気に入りのキャラが回復する奇跡を信じてなんとか3作目入手しなくちゃ。間違えて「凍てついた七月」を買ってしまったのだった。2015/12/23
Ayah Book
20
今作も素晴らしかった。何が素晴らしいって、主人公二人のキャラが素晴らしすぎる。ハップの昔の恋人を探すため、KKKがはびこる街へ繰り出すハップとレナード。マッチョでハードボイルドだけど、なんとも優しく思いやりのある二人に対して、現実はかなりのハードモード。ラストは結構しんみりしてしまった。2021/08/23
Ribes triste
19
中年オッサンコンビ、ハップとレナード第3作。ハップの失恋相手フロリダが失踪。2人は彼女を捜して人種差別の残る田舎町グローブタウンに乗り込んだが…。二人のかけ合いは絶好調で可笑しい。ハラハラし通しの展開でしたが、面白かった。カンタック署長がいい味を出してます。2020/06/30
sanosano
18
オゲレツ度Max。これに比べたら、フロスト警部なんて高貴なお方だよ。しかし、この語り口や主人公の設定に惑わされてはいけない。話は単純だけど、だからこそ人間の根源的な罪に触れてるような気が。それにしても、ハップとレナードが、どんどん打ちのめされていて、この後どーっちゃうのか不安で仕方ない。2019/03/22