内容説明
ジャッキーは三流飛行機会社のスチュワーデス。長年、法の目をかいくぐり、裏で銃密売人ロビーの資金の運び屋をしていた。が、遂にロビーを追い続ける捜査官が彼女に目を付けた。違法金持込みを見逃す代わりに、ロビー逮捕に協力しろというのだ。一方、ロビーも金を死守するべく、高額のギャラをちらつかせながら、彼女の命を狙っている。刑務所にぶち込まれるか、命を取られるか。絶体絶命のジャッキーは、男顔負けの意地と度胸で一世一代の大博打を打ち、一発大逆転を狙うが…。タランティーノが最も敬愛する巨匠レナードの、醍醐味溢れる痛快な悪党小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
35
運び屋のスチュワーデスを中心に、クセの強いやつらが狂騒する悪漢小説(タランティーノ監督「ジャッキー・ブラウン」の原作)です。検挙された主人公は、刑務所行きか、それとも消されるかの瀬戸際に立たされます。悪党どもを手玉に取りながら、自身の機略に賭ける主人公がとてもチャーミング。とんがった登場人物、洒脱な会話、テンポの良い話の運びと、レナードらしい作品です。クールな男女のやり取りが印象的な締めくくり方もしゃれていますね。前作「スイッチ」から13年後であり、登場人物がつながっているので、先に読まなかったのは失敗。2019/02/16
daiyuuki
16
オデールなどの悪党同士のユーモラスな掛け合いと駆け引き、ジャッキー(前科ありで安月給のスチュワーデスのアラフォー)、離婚寸前で腐れ縁の奥さんと別れ保釈金金融業者の仕事を辞めたいマックス、目標の100万ドルが貯まる寸前のオデール、ムショ暮らしが長くてカンが鈍くなっているルイス、男を頼りにする暮らしに限界を感じているメラニー、人生の岐路に差し掛かった4人の人生を賭けた賭けに出ようとするまでの心情が丁寧に描かれ、大人な味わいがありながらも痛快な傑作ロマン・ノワールに仕上がっています。2015/08/14
ねりわさび
14
映画では無駄に冗長な長回しシーンにより理解に苦しんだ場面も、レナードの原作での筆致は的確でわかりやすく読みやすい。過去作からのスピンオフでもありながら独立した作品として確立されている本書はサスペンスものとして秀作だと思います2018/09/30
ネムル
10
「「そうだ。あのお金、しまわなくちゃ。ほっぽりだしといちゃまずいよ」「おれがしまっとくから」「どっかに隠さなきゃ」「そんなこと言ってると、あんたの好物のおれのソーセージ、どっかに隠しちまうぜ」こういう可愛らしいことを言うのだ、白人の男たちって。前科者の、中年の大男でさえも」2013/08/27
bapaksejahtera
6
どうも聞いたような登場人物だと思っているうち解説を読むと本作から16年遡る「スイッチ」の登場人物であるという。よくもそれだけ温めておけるものだと思うと同時にこれらを作品中殺してしまう作者の度胸にも目をみはる。今回テーマは麻薬ではなく武器の密売。それでも麻薬で頭をやられた連中や白人至上主義者が出てきて舞台を回す。例によっての悪漢小説で先が読めない展開。それが面白くて次々先の筋を追いたくなる。もしかしたらレナードは賽子を振りながら書いたのではないかとさえ考えた。2020/03/13