内容説明
60年代に入ると、戦争は拡大の一途を辿った。サイゴンで紡績工場の奉公人となったレ・リは、妻子ある主人との不倫の恋に陥り、15歳で未婚の母となった。悲惨な現実から逃避するため、アメリカ人との束の間の恋を繰り返すレ・リ。1人のベトナム人女性のアメリカまでの道のりと16年ぶりの帰郷を通して、愛とは、自由とは、家族の絆とは何かを底の底まで見据えた凄絶なノンフィクション巨篇。
目次
第6章 信頼について
第7章 違う見方
第8章 兄弟姉妹
第9章 娘と息子
第10章 大地の力
第11章 天国に近くはなったけれど
第12章 家族を見つける
第13章 平和を見つける
第14章 出発
結びの言葉 悟りの歌
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katsura68
1
ベトナム篇上巻に続いて読了。ベトナム戦争当時と、筆者がアメリカに移住した後再びベトナムに帰国した際の様子が交互に描かれる形で物語が進行。ベトナム戦争が終わってもベトナムの人たちがさまざまな形で苦労し、葛藤を持ちながら生きざるを得なかった様子が克明に描かれている。それでも筆者がアメリカ、ベトナム双方の人たちを「許し」、ベトナムの恵まれない人達のために慈善活動を行おうとしているところでこの本が終わるので救われた気持ちになった。2025/03/11
あきひと
1
仏教の輪廻の思想を身につけ、現世の因果応報、ベトナムの為に生活を掛けた女性
がんぞ
1
オリバー・ストーン監督映画の原作/「見張りを怠った」廉でベトコンに死刑宣告されたレ・リは処刑者にレイプされたが一命をとりとめた。米軍基地に出入りするようになったレ・リをベトコンは爆弾テロに利用しようとしたらしいが父親はそれを拒むため自殺した。著者はベトコン(現在の共産党政府の前身)、共和党政府、米国の誰をも責めない。物語は渡米するまでと十数年後の’86年帰国し家族再会、ソ連からの借金返済に苦しむベトナムに「病院を建てる」夢を実現しようとして終わる。「結局アメリカはいいことをしたのか」と思わせるのはさすが。2011/06/27