内容説明
1947年8月。インド・パキスタンの独立を前に混乱の極にあるラホールをあとに、アリー一族は英国へ発った。国外へ出て、将来のパキスタンを支える富を築く、それが彼らに与えられた使命だった。同じ日に発生した大量虐殺をただ一人生きのびた少年、アドナン・ワリードの存在を彼らが知る由もなかった。20年後、アメリカに渡ったアドナンは、ファーラーと名乗る美しい同国人の娘と知りあう。彼女は、今や金融・海運にまたがる大帝国を築いたアリー一族の一員であった。家名を重んじる一族の手で、二人の仲は無惨にも引き裂かれた。その時から、アドナンの長い復讐の旅が始まる。