内容説明
電話が鳴っている。もう心配になってきた。何を期待しているかはわかっている。事件の依頼であってほしい。おれには仕事が必要だ。とっかかりが簡単な仕事でもかまわない。最終的に解決するのが厄介なら。チャールズ・クィンラン、売れない俳優にして売れない私立探偵。だが取り柄もある。俳優だから時にはボガート風にだってできるのだ。電話は映画界の大物、ストックトンからだった。すごい依頼主だ。失踪した息子を探せ、という。OKだ。息子はすぐに見つかった。拍子ぬけするくらい簡単に。だが、やはり裏があった。本当は、時間のかかるきわめて厄介な仕事だった。