感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
56
再読。1974年のエドガー賞受賞サスペンス小説。自分を殺してほしいと頼まれる、主人公フレッチ。彼はカルフォルニアで麻薬ルートを潜入取材中の新聞記者だが、殺してくれという実業家は特に事業は好調で健康も問題がない…… 書き方に感心した。三人称視点で内面を見せないので、主人公の真意が読めず、読者は彼の言動の意味を知るためページをめくってしまう。会話が巧いと評判の作家でこのデビュー作でも十分に巧さがわかる。破天荒な彼の取材と意外なツイストが効いて小気味良い。このクールさは日本人には無理だ。ぜひおすすめ。2017/04/02
hit4papa
44
口八丁手八丁の如何にもアメリカンな新聞記者が主人公のミステリです。薬密売やら委託殺人やら離婚手当不払いやら小切手偽造やらに巻き込まれていくものの、持ち前の図々しさとハッタリで取材を敢行し、あれよあれよと一気に解決してしまいます。スピード感があり爽快感は味わえるものの、このご時世ではタブーなエピソードがてんこ盛りですね。本作品は、謎の殺人依頼と麻薬密売という二つ事件を、ある時は身分を詐称し、ある時は噓八百を並べたて、真実に迫っていく記者魂が見所です。クライマックスは、一気呵成の展開です。うん、うん、痛快!2020/09/29
shiaruvy
9
★4 [S60.10.10 初版] 大学時代に読んで,たいそう感心した本の一冊。 絶版とは..最近のラノベ擬きのつまらん人気本よりはおもしれ〜のに。 角川書店は何を考えているのか..読み手のレベル低下に拍車かける罪は重いぞ!2013/06/10
八百蔵
2
若者の麻薬汚染レポのため海岸に潜入した新聞記者が、富豪の娘婿である若き副社長に目を付けられ、自分を殺して欲しい、と依頼を受ける…。適当、お気楽な主人公や、辻褄合わせもお手軽なところがあるが、作品の特徴でもある。ストーリーは、かなりしっかりしていて、これをシリアスに書くとしても、それなりの読み応えあるものになるんじゃないかとも思える。アメリカ探偵作家クラブの1995年選出百冊の第29位でユーモアミステリーNo.1。2024/02/23
東森久利斗
2
軽快なテンポ、口八丁手八丁、これぞアメリカ人、これこそ真のアメリカンソフトボイルド。装丁が残念。映画化作品の売ろうがための宿命にしても、センスのなさには、出版社の作品への経緯と売る気を疑う。創元あたりで再発すべき。出版社の責任。埋もれた名作。2020/06/30