角川文庫<br> 熱病の木

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角川文庫
熱病の木

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  • サイズ 文庫判/ページ数 291p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784042541189
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

恐怖が、あるいは嫉妬が、欲望が引き金となって起こる殺人。そして単なる強迫観念をもつには狂気の殺人を生む…。殺人の現場はアフリカの草原、陰鬱な廃墟の墓地。海辺の静かなリゾート地、そして人気のない郊外の森。MWA、CWAの両賞を連続受賞し、円熟の境に達したレンデルの、『カーテンが降りて』につづく第二短編集。表題作ほか10編を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

Tetchy

89
これまでのレンデル作品はこすっからい小悪党がちょっとしたミスやいつものルーティーンから外れたことが起きることで自身の悪事が露見し、罰を受けるような物語が多かったように思うが、本書ではむしろそれら悪意ある人物がうまく立ち回ることで生き長らえるといった結末が多かったように思う。そしてレンデルは実に人間らしいテーマを扱い、我々を物語の渦中に引きずり込む。本書における個人的ベストは「毒を愛する少年」で次点は「メイとジューン」。鬼籍に入り、もう長らく訳出が途絶えている作家だが、やはりこの味わいは捨てがたい。2023/07/07

くさてる

19
短編集。辟易とする人間関係が、グロテスクの域にまで達しているような作品もあり、続けて読むと少し胸焼けするような感覚も。しかしそれでも、その膠着し歪んだ関係がなにかしらの結末に向かうさまは面白く引き込まれてしまうのだ。男の自慰にも似た歪んだ行動が、思わぬ結果にたどりつく「女を脅した男」、女性にとっての手芸の魅力をここまで的確に恐ろしく描いた作品も珍しい「悪魔の編み針」、意外な落ちよりも、正義を娯楽にするタイプの人間が持つグロテスクさが印象に残った「思い出のベンチ」などが印象に残りました。2015/11/03

Ribes triste

17
レンデルによるミステリ短編の妙味。時に病質的なまでの好奇心と衝動。人の心の闇の深さに痺れる。個人的に面白かったのは、「悪魔の編み針」。レンデルが実はかなりの編み物の手練れであると知れて、嬉しくなった。2022/12/17

bapaksejahtera

15
レンデルの短編集初読み。精神の不安定な人間がきっかけを得て犯罪に走るタイプの作品は、流石に短編では書けない。本冊は①熱病の木②最後の審判③私からの贈り物④女を脅した男⑤不幸な暗合⑥毒を愛した少年⑦メイとジューン⑧悪魔の編み針⑨思い出のベンチ⑩絵具箱の館⑪タイプがちがう の11篇からなる。失望させる作品は少ないのが流石だが、意外な結末はよいとしても、肩透かしで暗転するという型の作品がいくつかある。気に入った作品は、②③④⑥辺り。①は兎も角、③は女性にはカタルシスだろう。⑥は主人公がサイコでなくてホッとする。2025/04/23

Ayah Book

14
レンデルさんの短編集。どれも良かったです。特に好きだったのは、ちょっとした悪戯心がやがて。。。「女を脅した男」、頭が良く穏やかな少年の好奇心が。。。「毒を愛した少年」、知らずにいればよかったのに。。。「メイとジューン」、皮肉な結末「タイプがちがう」でしょうか。レンデルさんは短編でもやはり良いです。2020/10/16

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