内容説明
1990年、イラクに技術協力していたロケット砲弾開発の世界的権威ジェラルド・ブル博士がブリュッセルで暗殺された。数日後、サダム・フセインはクウェートに侵攻。アメリカを中心とする多国籍軍は、サウジアラビアで戦闘の準備を進めた。その頃、イラクからの電波が傍受された。「“神の拳”がまもなく手に入る」。“神の拳”とはなにか?フセインは何を考えているのか?―学者や諜報機関のベテランが情況分析を試みる。その結果、詳細な情報入手のため、ある男にバグダッド潜入員として、白羽の矢を立てた―。徹底した取材とストーリー・テリングの天賦の才が結実した、迫真の傑作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
282
『ジャッカルの日』では、スナイパーのジャッカルとルベル警視の2人に焦点があてられていたために、息詰まるような攻防が描かれていた。ところが、今作はフセインのクエート侵攻とその後の各国の対応を描くといった、よく言えばスケールの大きい、しかしややもすると物語としての拡散を招きかねない構想の下に書かれた。主人公も、スパイ小説としてならばマイクということになるだろうが、彼とても全体の中の一部の役割を果たすだけである。かように、この小説はメリットはそのままデメリットにもなりかねない、危ういところに立脚していそうだ。2017/12/30
NAO
73
ブリュッセルに住む、ある一人のロケット開発を専門とする博士が殺されたことから幕を開ける、なんとも壮大ですさまじい話。欧米諸国を巻き込んだ大事件だけに関係者が多く、話があちこち飛んでしまって話の中心に据えられたイギリスのSAS少佐が時にかすんでしまうのは仕方がないか。2019/03/09
James Hayashi
25
サダムフセインや米英の主要幹部の実名で描かれたフィクション。湾岸戦争前の混沌としたバクダットに忍び込む混血のスパイ。冒頭から引き込まれるストーリーと詳細な描写。見事な構成である。下巻へ。2020/03/22
ララ♂
8
読了2024/07/12
tom
7
「コブラ」が面白かったので借りてきた。でも、近過去の時事ネタというのは、いまいち、本の中に入っていけない。いかにもフォーサイスという話なのだけど、少々退屈な本。2013/10/23