内容説明
窃盗の現行犯で囚われていたドートマンダーの元に敏腕弁護士が現れる。無罪と引き換えに仕事を請けろ、という。依頼人は金持ちの絵画コレクターで、自分の所有する絵を盗んで欲しいらしい。偽装盗難をでっち上げ、保険金をだまし取る算段なのだ。依頼人から絵を盗む、単純なこの仕事は楽勝かに見えた。しかし、“疫病神”ケルプが登場し、盗んだ絵まで盗まれて…絶体絶命のピンチに陥ったドートマンダーだが、今度こそ大金を手に出来るのか!?間抜けで冴えないけれど、なんだか憎めない小悪党たちの競演。大好評シリーズ第四弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aquamarine
84
ドートマンダーシリーズ第4弾。1ページ目で彼はすでに法廷にいる。そこに至るまでの経緯を知るとあまりの運の悪さに既に笑いしか出てこないのだが、実際は?…そして絵画の保険金詐欺を手伝わざるを得なくなったドートマンダーと仲間たち。依頼人宅の絵画を盗むという簡単だったはずの仕事は、予想外の展開に大笑いし、ケーループー!と思わず心の中で叫ぶ展開を経て、いつものようにドタバタと。もちろんそれで終わるわけもなく、絵画を巡り彼らは翔る…。頭はいいんだよね。本当にちょっと運が悪いだけで。ああ、面白かった。2020/07/12
文庫フリーク@灯れ松明の火
76
【第二回ウェストレイク誕生日読書会】『疫病神』と聞けば黒川博行さんの桑原と二宮浮かぶけれど、ドートマンダーとケルプも加わりそう。但しこちらは頭脳派・スタイリッシュな悪党・・のはずが泥沼招き寄せる剛腕疫病神。高価な絵画オーナーに見込まれ、ローリスク・ハイリターンの保険金詐欺。プランは完璧、けれど「絵に描いた餅は美味しいぜ」仕事仲間として手を切ったドートマンダーの翻意「考えとくよ」そのつぶやきに「そう来るとおもってたよ!」待ちかねたように飛び込んで来るケルプ(爆)コメディー・クライムで浮かぶのは解説の宮部→続2015/06/27
harass
46
犯罪ものが得意な作家のコメディ系作風の代表作。絵画を盗む依頼が来た主人公は今回の仕事を楽なものだと考えていた。何しろ依頼主が絵画の持ち主で保管場所も依頼主の家なのだから…… 奇妙な人物たちが絡みあい軽く読めてニヤリとできる。アメリカ喜劇映画を楽しめる人であればぜひ。海外ミステリで歴史に残る作家で、四つの名義をもちシリアスもこなす。このミスでも翻訳がでるたびにランキングされていたのを思い出す。2016/01/23
あたびー
40
珍しくケルプが持ち込んだのではない仕事。財布が軽くなったコレクターが自分の持ち物である絵をドートマンダーに盗ませて保険金詐欺を働こうとします。所がいつもの通り仕事は一筋縄では行かず、成り行きは2転3転4転…「40尋の海底から浮かび上がってきた」と言う怪貌の新顔がトラブルの元になるかと思いきや彼はたいした事じゃなく…いや今回も笑わせていただきました!本当にケルプって愛すべきやつだなあ。2022/07/15
Panzer Leader
31
シリーズ第4弾、今回は殺し屋・腕力担当のキャラが出て来たり、英国が舞台の一部になったりとスケールが大きくなっている。お気に入りキャラのヴィクター君も再登場してくれて嬉しい(顔見世出演だけど)。相変わらずドートマンダーの運の無さとドタバタぶりは健在。だけど今回はどちらかというと成功の部類になるのでは、たまにはイイ事もなくちゃね。2016/02/28