感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
86
【刑事マルティン・ベック】シリーズ第8弾。〔再読〕密室内の老人の銃撃による死亡事件は殺人か自殺なのか、マルティンが独り担当する。他の面々は連続銀行強盗を捜査、ブルトーザーと呼ばれる検事がしゃしゃり出て来た事で、てんやわんやとなる。2つの事件が平行して語られていき、思わね所で重なっていく。当時のスウェーデンの社会問題に、作者の意見が垣間見る事が出来て興味深い。老人や貧富の差の問題は、私が思っていた程に社会主義経済のこの国でも、巧くいっていない様だ。実際には解決していない結末は、現在の制度への批判からだろう。2021/03/03
巨峰
82
シリーズ第8作。4重に鍵のかかった部屋から老人の腐乱死体が見つかり拳銃による自殺とされたが肝心の銃が見つからない。密室殺人か?そして、頻発する銀行強盗、ついに死者が。犯人は女性か女装の男なのか。前作で怪我をしたペックは銀行強盗事件はラーソン・コルべリらに任せて、密室事件を追う。この作はラストのあいまいさがなかなかの読後感をもたらしてくれる。そして少しだけの登場人物(タクシーの女性運転手!)も含めて登場人物が多彩で生き生きとしてる。さすが高見浩訳!ペックにあたらな恋も。笑わない警官がついに朗らかにわらう!2019/04/20
み
25
ベックさん、ご無事でなによりです、ご乱心との見方もされたようですが(>_<)次作に続くのかしら?残り2作ぼちぼち読みます♪2021/07/25
きょちょ
25
2つの事件が同時並行、これはこのシリーズでは前にもあった。 今回の1つは銀行強盗、もう1つは密室殺人。 最初は密室殺人の方が、地味だけど面白かった。けれど、「密室殺人」は他の推理小説でもそうだが、興味をそそられるが、結局は「あぁ、な~んだ」で終わってしまう。 後半、銀行強盗の方が、犯人がある意味魅力ある。 「ブルドーザー」のような「道化」がいない方が作品に深みを出せると思うが・・・。 最後の裁判は実に皮肉な結果。そこが一番面白いところか・・・。 ところどころ「かったるく」感じる部分もある。 ★★★★ 2016/08/27
羊山羊
21
「唾棄すべき男」で銃撃を食らったベックの復帰後初の事件の1冊。杜撰な捜査がなされた老人の変死事件をベックが追う一方、スウェーデン警察は連続強盗事件を巡って大捜査の最中だった。今回は合同捜査に加わったオルソン検事がひたすらに現場をひっかきまわす。ダメ人間に翻弄される面々なのだった。ベックが変死事件の初動捜査の担当者を叱り飛ばすシーンが印象的。いつもと少し違う面々の見られる、風変わりな1冊。そして新たにベックが対面した恋の行方が少し気になる。というかこの恋次回に続くのか!?笑 2019/06/15