感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
89
【刑事マルティン・ベック】シリーズ第6弾〔再読〕。マルメ随一の高級ホテルで、財界の巨頭と呼ばれる男が銃撃される。魅力的な始まりは本シリーズの特徴ではあるのだが、ハッキリ言って全10作品の大河ドラマの中には、本作の様な少々スピードダウン的な作品は存在するのだろう。その代わりに、婚約者の死を乗り越えて、オーサが警察官として一人立ちする姿が見られる。こうしたシリーズの醍醐味を、存分に楽しめるのも特徴の一つだ。どんな社会でも矛盾が在り、受ける恩恵の差は人々の不満を生むのだろう。作者の社会不満を、素直に表した作品。2020/03/10
巨峰
72
新訳5作目からの旧約6作目、とはいうものの訳者はヘミングウェイの名訳などで敬愛する高見浩氏ということで、全く懸念はしていませんでした。しかし、名調子でしたねぇ。新訳と比較の上の上下はわかりませんが、70年代という時代にはあっているような気がしました。マルメの高級ホテルで発生した大富豪の暗殺。背後に見え隠れする国際的な暗闘。彼を殺したのは誰だ。指揮を執るのは、ストックホルムからのりこんだペック。スカッケ・コルベリ・ラーソンらも活躍してペック班の番外編的ながら面白かった。事件の真相は、今日の日本でもあるわー。2019/03/10
飛鳥栄司@がんサバイバー
24
今回は、ベック中だるみの巻。事件が突拍子もない感じなのにくらべ、捜査も真相もパッとしなかった印象。ベックが精彩を欠いていても、コルべりとオーサが大活躍だし、ラーソンに10年ぶり再開の妹が登場したり、ちょっと気になる女性が現れたりと周りのエピソードが賑やかで良かった。10作を通した警察大河ドラマを謳っているので、ミステリ性に弱いこういう巻が存在しても気にならないのもこのシリーズの持つ魅力の一つ。1960年代から1970年代のスウェーデンの社会情勢が現代でも解決しきれていない社会性を考えさせられる。2018/12/18
きょちょ
22
シリーズの中では、物足りない作品。 著名な実業家がレストランで銃で撃たれ殺害される。 この出だしは良いけれど、偶発的に犯人を見つけることになるのが残念。 そういう意味では、刑事たちは全く活躍していない。 犯人の動機ももちろん理解できるが、小説としてはちょっとありきたりなのだ。 このシリーズは、主人公マルティン・ベック含め、刑事たちに特色があるが、主人公そのもののファンは少数派ではなかろうか。 私は他の刑事の方が好きで、ベックの暗い家庭の話は好きになれないし、今回の同僚との関係はもっと残念である。 ★★2016/05/10
み
20
前作の最後が気になり、旧訳版の今作。作中は一年後、彼は、復活されていて良かったです、お話しは呆気ない結末でした…、可哀想。残り4作ぼちぼち読みます♪2021/01/11